【スポーツ】吉田沙保里も泣いた!インド発スポ根レスリング映画はヒットなるか

レスリングを題材にしたインド映画「ダンガル」の応援団を結成した(左から)日本代表の栄強化本部長、吉田、土性、川井
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 インドから異色のレスリング映画が上陸する。4月6日から全国で公開される「ダンガル きっと、つよくなる」は、インド映画としては世界興行収入史上1位の大ヒット作となり、中国では日本のアニメ映画「君の名は。」の2倍の興行収入をたたき出したという。

 同作は、インド代表として国際大会でも活躍した実在の女子レスリング選手であるギータとバビータ姉妹が、男性が圧倒的優位であるインド社会の中で、父のスパルタ指導の下で世界女王を目指すというストーリー。主演は日本でもヒットした「きっと、うまくいく」の俳優アーミル・カーンで、インド映画ならではの軽快なリズムや、しっかりとした人間ドラマが相まってグイグイと引き込まれる。

 “レスリング映画”と聞けばとんでもなくニッチな映画かと思いきや、インド版「巨人の星」とも言うべきスポ根映画として、あまりレスリングやインドについて知らない人も楽しめるだろう。

 この作品について、“本職”の人々もお墨付きだ。先日行われた試写会では、日本協会の福田富昭会長(76)や強化スタッフなどレスリング関係者15人が鑑賞。笑いどころでは爆笑し、感動シーンではすすり泣く声が聞こえてくるなど白熱し、エンドロールが終わると自然と拍手が湧き起こった。

 特に感銘を受けていたのは、今や日本のお家芸となった女子レスリングの第一人者たちだ。五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)は「父親の愛を感じた。どれだけ周囲に非難されても、笑われても信念を貫いた。あの人がいなかったら、今のインドの女子レスリングはないのかもと思うとすごいなと。姉妹愛も印象に残った。自分も姉(千春)がいる。いろいろ試練があっても、周りに正しい道に導いてくれる人がいるのは幸せなことです。投げ技もタックルもいろいろ出てきて、競技を知ってもらうのにとてもわかりやすい映画だと思う」とコメントした。

 五輪4大会連続メダルの吉田沙保里(至学館大職)は「私の小さい頃からのレスリング人生と重なる部分が多くて、感動して泣きました」と告白した。

 自身も14年に他界した父・栄勝さんの厳しい指導の下、二人三脚で競技に打ち込んできた。日本社会でも、女子選手がレスリングをやることは“普通の女の子”としての生活を半ば犠牲にすることになる。父の道場でレスリングを開始した吉田の場合、365日の内、練習が休みの日はお盆と正月だけ。骨折しても試合への出場を命じられたこともあり、「鬼かと思った。どうかしてるなと。本当に大っ嫌いでした」と述懐する。

 しかし、父と二人三脚で必死に練習したからこそ、五輪で3連覇するなど長年にわたって霊長類最強女王として君臨し、国民栄誉賞を受賞するなど国民的スターになった。自身の成長物語同様、レスリングのルールが分からなくても、何かを犠牲にしてでも物事に本気で打ち込み困難に打ち勝つこと、それを支える親子愛などは、人間が人間である限り普遍的なテーマだ。

 吉田は「(この映画は)レスリング経験者じゃなくても感動すると思う。たくさんの人に見て欲しい」と大ヒットを祈願した。「君の名は。」は、日本国内では歴代4位の約250億円と圧倒的な興行収入を誇るものの、吉田は「抜けるなら抜いて欲しいですね」と熱烈エールを送った。

 異色のレスリング映画が日本でどこまで受け入れられるか、今から楽しみだ。(デイリースポーツ・藤川資野)

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