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【スポーツ】本田真凜、試練のシーズン 支えた妹・望結の言葉と生まれた感情

 平成最後の開催となったフィギュアスケートの全日本選手権。女子は新女王となった坂本花織に、トリプルアクセルを武器に2位に入った紀平梨花と時代の節目にふさわしい新たな風が吹いた一方で、試練のシーズンを送った選手もいた。

 16年世界ジュニア女王の本田真凜(17)=JAL=にとっては、苦しい1年となった。全日本ではSPでジャンプのミスを連発し、フリーは現状での精一杯の演技を見せたが、15位に終わった。それでも、これが今の自分の立ち位置。「全然満足はしてないですけど、去年よりスケートしたなって気持ちになってる」。自らに言い聞かせるようにそう話すと笑顔を作った。

 平昌五輪切符を逃し、今季から拠点を米国に移し、男子の世界王者のネーサン・チェンらを指導するラファエル・アルトゥニアンコーチを師事。ジャンプもスケーティングも、1から組み直している。本田自身、着実に手応えは感じているものの、なかなか結果としては表れてこない。スケーターにとって、環境を大きく変える決断は勇気と、根気が必要になる。「こういう風になるのは覚悟の上だった」と話す一方で、1つ年上の坂本や、1つ年下の紀平ら同世代がシニアの世界大会で結果を出しつつある中、天性の華やかさを持ち、ジュニア時代に世界の頂点を経験している17歳を、焦燥感が襲う。「今のトップの選手たちのように、はやくいい演技ができるようになりたいという焦りはあります。すごく自分の中でいろんな気持ちがあって。ジュニアの時は思い通りの演技ができていたけど、シニアに上がってうまくいかないことが多くて」。自らの気持ちを整理するかのように、素直な思いを吐露した。

 時折、現実から逃げ出したくなる自分が出てくる。そんな時、妹で女優兼スケーターの望結から贈られた言葉を思い返し、踏みとどまる。「望結から言われたんです。『逃げ道の先には、行き止まりしかない』って」。

 米国での半年を経て、得たものもある。あまりにも天才肌だった本田真凜というスケーター。「以前の練習は気持ちが乗っている時は自分でも調子が良くて、乗っていない時は練習じゃないような感じだった」。練習でできないことも本番では成功した。だから、アスリートとして持っていて当然のはずの感情が薄かった。「練習以下の試合はなかったから、悔しいとかうれしいとかそういう気持ちが少なかった」と、振り返る。

 厳しい練習で知られるアルトゥニアンコーチのもとで「今までに比べると、練習からいいものができている」と、感じている。だからこそ、今、思うように演技ができない自分がもどかしい。「練習でできていることが、試合でできないということを初めて経験した。その分、悔しいっていう気持ちも今季になって初めて分かりましたし、心の底から喜べる演技をしたいと思えるようになった」と、表現者として必要な“渇き”が芽生えた。

 全日本の期間中、アルトゥニアンコーチからはこう声を掛けられた。「自分たちが目指すシーズンになるまで、まだ準備段階だ。今季は目指すシーズンに向けてのウォーミングアップの段階。こういう経験を積み重ねていこう」。そして、「今季は思った以上に良かったよ」と、評価をもらった。本田は「自分の中では思うようにいかなかったけど」と苦笑いしつつ「今は本当に自分の意思は捨てて、コーチと周りの人たちを信じて頑張りたい」と、来季を見据えた。

 「うれしい気持ち、勝ちたい気持ちを思い出すことが今の自分には必要だと思う」。試練は続くかも知れない。それでも「今は上手くいかなくても、覚悟の上で自分が選んだ道。逃げずに信じて頑張りたい」。茨の先に、再び輝ける場所があると信じている。

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