「鳥」のヒロイン女優、ヒッチコック監督からセクハラ 娘はメラニー・グリフィス
ティッピ・ヘドレン(86)がアルフレッド・ヒッチコックにセクハラを受けていたと暴露している。ティッピは1980年に他界したヒッチコックと5年間の出演契約を結んでいた31歳の頃、ヒッチコックからのセクハラに苦しんでいたという。
ニューヨークポスト紙に掲載されたティッピの自伝『ティッピ:ア・メモワール』の一部分の中では、ティッピの名を世界的に有名にしたヒッチコック監督作『鳥』の撮影の際、ヒッチコックは撮影前から男性出演陣達に対してティッピと交流をもったり触れたりすることを禁じ、もしティッピが撮影現場で男性と話をしたり笑いあったりしている姿を見かけると怒ってすねたような態度を取ることがあったと綴っている。さらにヒッチコックがたくさんの人たちと別のサウンドステージ側でおしゃべりをしているときでさえ、ティッピのそういった様子を見かけると「無表情でじっと見てきたり」していたのだという。
ヒッチコックはケリー・グラントとグレース・ケリー主演の『泥棒成金』の撮影中に勃起した話をティッピに説明したり、運転手にティッピの家まで行くのに遠回りをさせたりしたうえ、ティッピの筆跡鑑定をしたり、自分に触ることさえ要求したりしていたようだ。
『鳥』の共演者であったスザンヌ・プレシェットに舞台袖に呼び寄せられたティッピは「これは悲しいことね。でも約束するわ。映画制作がいつもこんな感じでというわけではないから」と言われたことさえもあったという。
あるときには車のバックシートでヒッチコックに無理やり押し倒されキスされそうになったこともあったといい、ティッピはこの事件について「最悪だった。最悪な瞬間だった」と綴っている。
しかし1960年代初頭には「セクハラやストーカーという言葉自体が存在しなかった」ことから、これらの出来事を誰にも話すことはなかったようで「製作会社にとってもっと価値があったのは私かしら、それとも彼かしら?」と当時の心境を露わにしている。
『鳥』の最終シーンで使われている鳥たちは人工のものが使われると言われていたものの、実際には本物の鳥が使用されたそうで、残酷で目も当てられないような撮影が5日間に渡って行われた後、ティッピは精神的に限界を迎えてしまったのだという。当時の状況を振り返りティッピは「床に座ったまま動けなくなってしまった。そして完全なる疲れから泣き出してしまった」と綴っている。
その後意識を失ったり、悪夢を見続けるようになり、医者から1週間の休息を取るよう勧められるも、ヒッチコックはティッピを死に追いやることになると警告されるまでティッピに休みを与えようとしなかったそうだ。
『鳥』撮影から1年後、ティッピは再び『マーニー』の撮影でヒッチコックとまた仕事をすることになったが、ヒッチコックのセクハラは更にひどくなっていったという。
ヒッチコックはメイクアップの部署に、自分のためにティッピの顔をかたどったマスクを作らせるよう要求したうえに、自身の部屋とティッピの控室の間に行き来可能な秘密の扉を設置していたというのだ。ある日ヒッチコックはティッピの控室に入ってきて触ったりしてきたといい「性的で非道なものだった。彼に立ち向かおうとすると、彼はもっと暴力的になっていった」と綴っている。
『マーニー』の撮影後も2年間の契約期間が残っていたものの、その後ティッピがヒッチコックと仕事をすることはなかった。
(BANG Media International)