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【サッカー】「日本のマラドーナ」乾貴士の献身

 明らかに違いを生んでいた。6日の国際親善試合ニュージーランド戦(愛知・豊田スタジアム)で後半25分から途中出場した日本代表FW乾貴士(29)=エイバル=は、ひときわ大きな歓声に迎え入れられピッチに立った。

 バヒド・ハリルホジッチ監督(65)から「日本のマラドーナ」と呼ばれた乾は、突っ掛けて行くこと、裏を狙うことを指示されたというが「もっと幅を取った方がいい」と指揮官に進言。左FWに入るとタッチライン際にポジションを取り、ボールを持てば縦へ内へと仕掛け、大柄なニュージーランド選手を翻弄し、DF長友佑都(31)=インテル・ミラノ=とのコンビネーションも交えつつ日本の左サイドを活性化。相手に傾いていた流れを日本に取り戻した。

 決勝点となったMF倉田秋(28)=G大阪=の代表初ゴールも左サイドの乾の仕掛けからだった。“ジョーカー”として申し分のない働きを見せ、W杯メンバー入りへのアピールに成功した一人となったが、乾は「相手もバテていたので誰が出てもあんまり変わらなかった。何度かミスもあったし、大して評価していない」と冷静に試合を振り返るだけ。「日本が勝てたことが良かった」と自らのプレーよりもチームの結果を喜んだ。

 後半40分にペナルティーエリア内に侵入し、折り返しをMF小林祐希(25)=ヘーレンフェイン=がシュートを放ちGKの正面を突いた場面でも、アシストという結果が残せたかもしれないにもかかわらず、「落とし(のパス)が強かった。俺が力んじゃった」と反省ばかりが口を突いた。さらに左FWで先発出場したFW武藤嘉紀(25)=マインツ=についても「よっちが走ってくれたおかげで相手がバテた。前半から出る選手はやはり難しい」と感謝を口にするなど、自身の出来にはほとんど興味を示さず「チームが勝てれば誰が点を取ってもいい」と付け加えた。

 乾はW杯出場権を獲得した8月31日のオーストラリア戦(埼玉)では左FWで先発出場し、得意のドリブルだけではなく「自分がバテても(原口)元気がいるし、それで点を取って日本が勝てばいい」と、スペインで鍛え抜かれた守備力と豊富な運動量も発揮した。

 29歳という年齢を考えれば、ロシアW杯が最初で最後のチャンスかもしれない。ニュージーランド戦では何よりも結果が欲しいはずだったが、乾は「日本が勝てばいい」と繰り返した。W杯へのサバイバルマッチでも見せた献身の精神。自分が輝かなくてもチームが勝てばいい。だが、誰よりもまばゆい光を放ったのは、そんな乾だった。(デイリースポーツ・山本直弘)

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