“史上最強”虎助っ人陣の共通点とは…
リーグ優勝を逃したものの、球団史上初となるCSファーストステージ突破を決めた阪神にあって、欠かせない4人の外国人選手がいる。野手ではマートンとゴメス、そして投手ではメッセンジャーと呉昇桓だ。
この4人が果たしたプロ野球史上初となる快挙。それは登録している外国人選手の4人がすべて、個人タイトルを獲得したというもの。史上初ということもあり、最強の「外国人カルテット」と言っても過言ではない。
それぞれのタイトルを記すと、野手で新加入のゴメスは、4番として「打点を挙げるのが大事な仕事」と109打点を記録して打点王に。マートンは打率・338で自身初の首位打者に輝いた。投手では、メッセンジャーが最多勝(13勝)と最多奪三振(226個)の2冠。守護神の呉昇桓は39セーブで最多セーブとなった。
タイトル獲得の理由として、まず、それぞれが素晴らしい技術を持った選手であるということは疑いようのないもの。その上で、持ちうる力を余すことなく発揮できたところが大きい。そこには、もちろん首脳陣やチームメートの助けもあるが、4人に共通しているのは日本野球に適応しようと努力を重ねた姿勢だ。
メッセンジャーは、4年連続で2桁勝利を達成するなど今やローテの軸となっている。それだけに、忘れられがちではあるが、10年に加入した直後は中継ぎで苦しんでいた。思うように成績も挙げられずに、2軍落ちも経験した。
ただ、「色々なことを考えた。配球面のこととか」と話していたように、その中でも腐ることなく周囲のアドバイスに耳を傾けて修正を図り、そして先発に転向したことが今につながっている。
今季加入した呉昇桓も、福原ら他の投手と積極的にコミュニケーションを図り、ボールの握りなどのアドバイスを求めた。ゴメスは、助っ人としての先輩でもあるマートンに「何度もアドバイスをもらった」という。日本の投手の傾向や配球などを尋ね、対策に取り入れたことが結果に結びついている。
マートンは、来日1年目に214安打でシーズン最多安打の記録を樹立した。その当時、「今までのことは関係なく、日本で全てを出す覚悟でプレーしてきた」と話している。
これまでの実績やプライドに邪魔されることなく、いかにどん欲に日本での成功を求めて取り組めるか。スムーズに「日本化」に移行できたからこその最強カルテット。CS突破からの日本シリーズ進出を狙う阪神にとって、大きな強みとなっている。
(デイリースポーツ・道辻 歩)