羽生“心理戦”圧勝で金へ万全 「誰が取ろうが、僕も取る」 4回転ループも解禁

 「平昌五輪・フィギュアスケート男子・SP」(16日、江陵アイスアリーナ)

 フィギュアスケート男子で66年ぶりの連覇を目指す羽生結弦(23)=ANA=が15日、江陵アイスアリーナでの公式練習に参加した。11日に韓国入りして以来、一度も挑戦していなかった4回転ループを初めて着氷。16日のショートプログラム(SP)、さらには17日のフリーへ向けてライバルたちとの“心理戦”が勃発した中、羽生は日本選手団の金メダルについて「誰が取ろうが、僕も取る」と力強く宣言した。

 集まったライバルたちに見せつけるかのように鮮やかに降りた。羽生が韓国入り後、封印してきた4回転ループをついに解禁。痛めていた右足で踏みきり、右足で着氷する大技挑戦の可能性をにおわせながら「順調に計画通りできている」と、笑みを浮かべて話した。

 翌日に迫った決戦へ、リンクはバチバチだった。最終組は出場選手中、世界ランクの上位6番以内。1位羽生、2位の宇野昌磨(トヨタ自動車)に加え、フェルナンデス(スペイン)、コリャダ(OAR)、チェン(米国)、金博洋(中国)が集結した。

 全員が2種類以上の4回転を跳び、SPの自己ベストは全員が100点超え。超ハイレベルなトップ争いが予想される中、練習でも4回転がバシバシ決まった。

 チェン、金、コリャダは高さのある4回転ルッツを何度も着氷。宇野も4回転フリップを決めた。フェルナンデスはジャンプの基礎点こそ比較的低いが、曲かけ練習では完成度の高いプログラムを披露。そんな中、火がついた羽生が跳んだ“初披露”の4回転には燃える闘志と“けん制”が込められていた。

 羽生がループまで跳べる事実は、これまでのトーループとサルコーの2種類のプログラムよりも、さらに得点を伸ばせるという意味と等しい。SPはループ抜きの構成で臨み、フリーは点差次第でジャンプ構成を決める可能性が高いものの、ライバルたちに与える精神的影響は大きいはずだ。「作戦がすごい大事」と話していた羽生の計画は、着実に実行されている。

 日本勢は平昌五輪でこの日まで7つのメダルを獲得しているが、金メダルはない。期待や重圧を問われると「誰が取ろうが、僕も取ります」と断言した。「自分自身が、自分の期待を超えられるように」と、ハードルを高く掲げ、乗り越えようともがいている。

 「大好きな曲を滑れる楽しさや自分が勝ちたいという気持ちも含めて、全部出したい」。心の底に潜む不安を打ち消し、不気味なほど明るく話す笑顔が不敵だった。五輪王者の称号を目指す2度目の戦いは、既に始まっているようだ。

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