エンゼルス投手の薬物死亡事件 遺族と球団が急転和解 条件不明 4年の法廷闘争に終止符 米報道「双方が不確実性を回避」
エンゼルスのタイラー・スカッグス投手(当時27歳)が19年7月に遠征先のテキサスの宿舎で薬物の過剰摂取が原因で死亡した事件を巡り、同投手の遺族が球団相手取り訴えた民事裁判は和解が成立し、約4年の法廷闘争に終始が打たれた。ロサンゼルス・タイムズ電子版など、複数の米メディアが19日(日本時間20日)、報じた。
陪審評議3日目。和解交渉は難航するとみられていた中での結末に同紙は「和解は31日間に及ぶ審理を経て、陪審員がエンゼルス側にも投手の事故死について一定の責任があると考えていることを示唆したタイミングで成立。和解条件は明らかにされなかったが、この合意により双方は陪審評決が全面勝訴か全面敗訴かという不確実性を回避することができた」と記述。「陪審員が、スカッグスが生存していた場合の将来収入に関する専門家証言の読み返しを裁判官に求めたことで状況は一変した。この要請は、陪審団が球団側に少なくとも一定割合の経済的損害責任があると判断した可能性を示唆していた」とも記した。
同投手は19年7月1日、テキサス遠征中に宿舎の自室でフェンタニルが混入した違法鎮痛剤を吸引した後に死亡。検視の結果、自身の嘔吐物をのどに詰まらせたことにより窒息死だったことが明らかになった。また、これら違法薬物を複数回にわたり提供していたのは球団広報部長(当時)のエリック・ケイ受刑者(禁錮22年の刑で服役中)だったことが判明。同紙は「最終弁論で遺族側の弁護士ダニエル・ダトコ氏は、エンゼルスがスカッグスの死について70~90%の責任を負うべきだと主張し、ケイとスカッグス本人にはそれぞれ約10%の過失が割り当てられ得ると述べた」と伝えた。
遺族側が球団の過失致死を訴えた裁判は10月に始まり、エンゼルスの主砲マイク・トラウト外野手やマット・ハービー投手ら、複数の現役、引退選手らが証言台に立った。
スカッグスは09年ドラフト1巡目でエンゼルスに入団。10年8月にダイヤモンドバックスへトレードに出され、12年にメジャーデビューを果たした。13年オフにトレードでエンゼルスに復帰し、18年に8勝をマークするなど、先発陣の柱として期待されていた。メジャー通算成績は96登板、28勝38敗、防御率4・41。





