山本由伸がMVP!連投で胴上げ、連覇導くWS3勝で文句なし 大谷も絶賛「世界一の投手」
「ワールドシリーズ・第7戦、ブルージェイズ4-5ドジャース」(1日、トロント)
ワールドシリーズ(WS=7回戦制)は第7戦が行われ、ドジャースがブルージェイズを延長戦の末に5-4で制して4勝3敗とし、球団初の2連覇を達成した。第6戦に先発した山本由伸投手(27)が同点の九回1死一、二塁から救援で連投。サヨナラ負けの危機をしのぎ、延長十一回に1点を勝ち越すと、リードを守り抜いた。今シリーズは3勝。日本選手では2009年の松井秀喜以来2人目で、日本投手では初のMVPに選出された。大谷翔平投手(31)と山本は2年連続、佐々木朗希投手(23)は自身初の「世界一」となった。
これまでさまざまな大舞台に立った。日本シリーズの日本一も、東京五輪の金メダルも、WBCの優勝も、そして昨年は世界一にもなった。ただ、山本の涙腺が緩むことはなかった。
しかし、雌雄を決するWS第7戦。修羅場を乗り越えて“胴上げ投手”となった右腕は試合後、グラウンドで歓喜の輪の中心にいた。「野球少年に戻ったような気持ち」。感情が爆発した。「涙が出た。久しぶりにあふれてきた」。重圧も、期待も全てを背負った背番号18が解き放たれた。
第6戦で先発した試合後、中0日での“クローザー・山本”プランは球団のオプションにはなかった。フリードマン編成本部長が舞台裏を明かす。「昨晩、ヤマが明日に向けて治療を受けているというメッセージをもらった。正直、現実的には可能性は低いと思った。でも今日も治療を受け、『調子がいい。最低でも1回は行けると。あとは自分の球がどこまで持つかだ』と言ってきた」。球団は驚きを隠せなかったが、志願した山本をブルペンの選択肢に入れた。
出番は同点の九回1死一、二塁。一打サヨナラという場面だった。さらにいきなり死球を与え、大ピンチを背負った。
だが、ここからが真骨頂だった。バーショーを二ゴロで本塁封殺。クレメントには中堅後方へ運ばれたが、パヘスの好捕に救われた。延長十回は三者凡退。スミスのソロで1点を勝ち越した後の延長十一回1死一、三塁はカークをスプリットで併殺打に打ち取った。
球史に語り継がれるであろう34球。試合を締めた右腕の元に、仲間が狂喜乱舞して集まった。
「最後は何投げたかもちょっと思い出せないような。そういう興奮があった。チームメートが自分のところに来てくれた時は、今までで一番ぐらいの喜びを感じた」
同一年のWSで3勝は、01年のランディ・ジョンソン(ダイヤモンドバックス)以来24年ぶり14人目。延長十八回の死闘となった第3戦はブルペンで“幻の十九回”に備えた。7試合で4度も肩をつくった。
試合後、壇上でMVPのトロフィーを持ち上げることができなかった。体力は消耗していた。前日には少し体調を崩していたが、メジャーでは小さな体で、とんでもないことを成し遂げた。大谷は山本について「素晴らしい。由伸が世界一の投手だとみんなが思っているんじゃないか」。今年、日本での開幕戦で投げた右腕が、WS第7戦の最後のマウンドに立った。山本は伝説になった。





