広陵8強!前本V弾、連覇へ視界良好
「高校野球・広島大会4回戦、広陵8-2尾道」(22日、コカ・コーラW)
4回戦8試合が行われ、8強が決まった。広陵は5番・前本武蔵外野手(3年)の決勝ソロで尾道を退けた。打線も14安打で8得点。2連覇に向け、優勝候補の大本命がギアを上げてきた。
力強く右拳を突き上げた。普段は冷静な前本が感情を爆発させる。前打席の悔しさを晴らした。会心の一撃が、チームを8強入りに導く値千金の一発だ。
「前の打席で内角の真っすぐを打ち損じていた。その1球を狙った。完璧です」
2-2の五回2死から狙い球をフルスイング。本塁方向へ吹き付ける強風をものともせず右翼席へ突き刺した。前打者の主将で4番の喜多真吾内野手(3年)が遊ゴロ併殺打に倒れた直後。悪い流れを断ち切る一振りだ。
この日は打順が3番から5番になった。この試合まで2試合で8打数2安打3打点。打撃は本調子にはほど遠かった。「打ち損じが多い。焦っていた」と前本。喜多と昨夏の甲子園を経験し、チームの先頭に立たなければいけないという意識が強過ぎるあまり、空回りしていた。
前日に喜多と「自分たちが打てば勝てる。頑張ろうと話をした」と気持ちを一新した。中井哲之監督(53)は「打順が変わって悔しさがあったと思う。顔には出さないけど内に秘めたものを感じた」と笑顔を見せた。
聖地まであと3勝だ。「このホームランをきっかけに状態が上がっていくと思う。次も打点を稼げる打撃をしたい」と言い切った前本。そのバットで歓喜の瞬間をもたらす。