徳島商・龍田、捕手転向で2年ぶり聖地だ
2年ぶりの甲子園出場を狙う徳島商の攻守の要が、龍田大地捕手(3年)だ。2年前の夏はエースだった兄・祐貴(現日体大)と兄弟出場。1年生ながら三塁手としてスタメンに名を連ねたが、2試合で6打数無安打と兄を援護できなかった。その悔しさを胸に挑む最後の夏。持ち前の強打と強肩で春19回、夏23回の出場を誇る名門を引っ張る。
2年前の悔しさを忘れてはいない。1年生ながら背番号「5」をつけた甲子園。初戦の藤代戦、3回戦の光星学院戦ともに龍田は3打数無安打に終わり、マウンドで奮闘する兄・祐貴を援護できなかった。
「あの経験があるから、もっとやらなあかんという意欲が出る」
雪辱を期して猛練習に明け暮れたが、その後は3度、聖地を逃した。昨秋の新チーム発足後は、捕手に転向。経験はなかったが、森影浩章監督から肩の強さや配球の読みの鋭さを買われた。
元ヤクルト・古田敦也氏(現野球解説者)の著書「フルタの方程式」を熟読し、捕球技術や配球を勉強。エース・坂本温基(3年)と対話を重ね、「投手が気持ちよく投げられるようなリード」を身につけていった。
今春の徳島大会は準決勝で川島にサヨナラ負け。1‐0で迎えた九回に追いつかれ、延長十二回に力尽きた。「立ち上がりと最終回の集中力」(坂本)がバッテリーの課題。主軸を任される打撃面では「右方向に強い打球を打つこと」をテーマに取り組んでいる。
2年前に持ち帰った甲子園の土は、小学時代に所属していた「鷲敷レッズ」の後輩たちにすべて配った。「自分の分は3年生になって取りに行けばいいかなと思って」
日体大で活躍する兄とは頻繁に電話で話し、励まされる。「2年前の兄はビックリするくらい強気に攻めていた。自分も見習いたい」。あっという間に訪れた最後の夏。今度は絶対に悔いを残さない。
