ケイバ熱盛ブログ「最高の褒め言葉」(11月16日)
本命馬は1着じゃないと当てたことにならん。▲◎はハズレみたいなものやぞ。駆け出しの頃、厳しい先輩からそう教えられた栗東・井上です。
悔しかった。エリザベス女王杯です。本命は2着に敗れたサラキアでした。「悔いはないです」。レース後の北村友Jの言葉通り、少しでも早く動いていれば、2着もなかったでしょう。一瞬の脚を引き出す、最高の騎乗だったと思います。▲=1着、◎=2着は悔しい結果。それでも、馬券プレゼントに成功して、馬券も取った。コラムで推奨したので、読者の皆さまに還元できたでしょうか。知り合いからも感謝のメールをもらったので、ヨシとしましょう。
見事に連覇を飾ったラッキーライラック。昨年は本命だったけど、今年は裏切って▲に評価を下げてしまいました。担当の丸内助手とは古くからの付き合い。ワタクシが山本厩舎を担当していた馬サブロー在籍時からなので、もう20年近くになります。
当時、彼が担当していたヘヴンリーロマンスが天皇賞・秋を制したのが05年。ワタクシがデイリースポーツへ異動した年でした。専門紙からスポーツ紙へ移籍した記者は東西で初めて。結果を残さなアカン-。そんなプレッシャーを感じたのを覚えています。天皇賞ウィークに、仕上がりの良さを熱っぽく語ってくれたのが丸内助手でした。自分の意見とも合致し、迷わず本命に。結果、天覧競馬で14番人気馬が大波乱!ワタクシも肩の荷が降りたような気分だったな…。
昨年末のこと。彼がうれしそうにこんな話をしてくれました。「ラッキーライラックの祝勝パーティーがあってさ。壇上でスミヨンがこう言ってくれたのよ。“この馬を調教して仕上げた助手は大したものだ。たたえたい”って。世界トップクラスのジョッキーに褒められて、最高だった。こんなにうれしい言葉はないよ」。努力が報われる瞬間です。その表情に記者もウルッときました。
競馬でスポットが当たるのは馬、そして騎手、調教師です。それを支えるのが調教助手さんや厩務員さんの仕事。裏方として、非常に大きな役割を果たしています。勝利の瞬間だけではない。たとえ、負けてもジョッキーの言葉に前を向けるという。
「乗りやすかったです」
「いい仕上がりでした」
最高のひと言、褒め言葉です。
“丸ちゃん、おめでとう。さすがです。最高の仕上げだったわ”エリザベス女王杯のあと、メールを送ると、夜遅くに返事が返ってきました。「それが何よりの褒め言葉だよ」。こちらも悔しい思いが吹き飛びましたよ。