【地方競馬】ダートの猛者の蹄音
「レース記者コラム 仕事・賭け事・独り言」
2020年シーズンの南関東競馬は今月から下半期に突入。各場で熱戦が展開されている。前半戦のグレードレースを振り返ると、いくつかのVシーンが思い浮かぶ。最もインパクトが大きかったのがダート頂上決戦の帝王賞だ。
とにかく出走馬の顔ぶれがすさまじかった。優勝したクリソベリルをはじめ、オメガパフューム、チュウワウィザード、ルヴァンスレーヴ、ワイドファラオ、ケイティブレイブ、ノンコノユメ、ミツバとG1級ウイナーが8頭参戦。上半期のダート総決算といえども、これほどの強豪が一堂に会するのは滅多にない。
1番人気に推されたのは2019年の覇者オメガパフューム。2番人気は昨年度のJRA賞・最優秀ダートホースのクリソベリル、3番人気に今年の川崎記念で圧巻のパフォーマンスを披露したチュウワウィザードが続いた。
レースは戦前の予想通り、ワイドファラオがハナへ。クリソベリルは好位を追走。勝負どころでオメガパフュームが中団から進出すると、一気にペースが上がる。クリソベリルは戦況の変化に動じることなく、直線では力強いフットワークで快走。2着オメガパフュームに2馬身差の完勝劇を演じた。
勝利騎手インタビューで川田は「流れが速くなった時にスムーズに対応してくれた。その後の動きも良く、手応え良く直線に向くことができました。圧倒的なポテンシャルがある」と海外帰りでも、しっかり結果を残したパートナーをほめたたえた。
決戦当日は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、無観客での開催。スタンドの歓声はなくとも、ダートの猛者の蹄音から大舞台のエッセンスが伝わってきた。(地方競馬、競輪担当・堀江浩二)