【ボート】辻栄蔵がSGに帰ってくるぞ~ 1年7カ月ぶりでSG戦に復帰

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 待ちに待った日がやって来る。昨年3月のボートレースクラシック(浜名湖)以降、SG戦線を離れていた辻栄蔵(44)=広島・74期・A1=が、10月に児島で開催されるダービーでSGに復帰する。長年SG常連として活躍してきた辻にとって、この期間は試練の時。気持ちを途切れさせる事なく、黙々と技術を磨き続けてきた。そう思うと感慨深い。

 6月宮島で地元周年初制覇を飾った辻は、お盆の宮島でも堂々の主役。大舞台を離れて久しいが、広島を代表する選手として存在感は絶大だ。広島の次世代エース・村松修二(28)=114期・A1=は辻についてこう評した。「辻さんは僕が持っていないもの、僕が欲しい全てを持っている人です」と。村松は真っすぐひたむきに、感情むき出しで突っ走るタイプ。それは大きな魅力である。その村松にそう言わしめる辻像とは、超自然体。レースの巧みさはもちろん、常に平常心で感情を表に出さない。ちょっとクセがあると感じる記者もいるが、私は辻の男気に何度も助けられてきた。ピンチになるとシュッと現れ、解決してサッと去って行く。決して大げさでなく、私にとって正義のヒーローなのだ。

 辻らしいと感じたのは昨年7月の豪雨時でのこと。7月7日が最終日だった宮島ボートには、3日後に若松のSG・オーシャンカップ出場者が数名いた。同レースに出場していた池田真治(51)=岡山・70期・B1=によると、豪雨でJRはストップ。運送業者も身動きが取れない状況。選手がレース場に運ばなくてはならないスーツケース等が、当日までに届く保証はない。家に帰るだけでも大変なのに、大荷物を持って移動するなど不可能だ。そこにジャジャーンと現れたのが辻。当時2カ月の出場停止期間中(3月クラシックの整備不良)だった辻が自家用車を運転し、福岡県の若松ボートまで荷物を運搬したのだとか。その日宮島で優勝した茅原悠紀(32)=岡山・99期・A1=も同乗。池田らを広島駅まで送り届け、彼らは豪雨の中、ロングドライブに繰り出した。

 オーシャンカップは無事開催され、選手紹介式では茅原ら数人の選手が「辻運送、最高!!」と叫んだとか。SGの表舞台には立てなかったが、ちゃんと陰で大会を支えていたのだ。さらに、自身の地区が被災地でありながら、帰省中の息子と共にボランティア活動。心配してメールを送ると、「人生の中の経験としては良かったと勝手に思っています。ま、仕事は一から始めますよ。2年もあれば何事もなかったように元のポジションにいる予定(笑)」と返信をくれた。私はその言葉を胸に、辻のSG復帰を待ち続けていた。私が担当する児島のダービーが復帰の舞台。何かドラマチックなことが起きそうで今からワクワクしている。(関西ボート担当・野白由貴子)

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