【天皇賞】イクイノックス ギリギリ差し切った!父子制覇&キタサンブラック産駒G1初V

 「天皇賞(秋)・G1」(30日、東京)

 1番人気馬がついに勝った!皐月賞&ダービー2着の3歳馬イクイノックスが、メンバー最速の上がり3F32秒7の豪脚で差し切り、念願のG1初制覇を飾った。キタサンブラック産駒初のビッグタイトルで、天皇賞・秋史上4組目の父子制覇も達成。2着には大逃げを打った7番人気のパンサラッサが粘り、3着には4番人気のダノンベルーガが入った。

 坂上からの追い込みで、ルメールはイクイノックスに持てる力の限界を要求した。直線入り口で15馬身前方にいたパンサラッサを、ゴール寸前、最後のひと伸びで1馬身とらえた。春のクラシック2冠で連続2着と苦杯をなめたコンビが、昨年暮れのホープフルSから平地G1で16回続いた“1番人気敗退の呪い”をついに解き放った。

 決して速くないスタートで向正面は後方10番手。僚馬ジオグリフの直後に入り、主戦は「馬にプレッシャーをかけたくなくて」と、なだめることに専念していた。そのため、パンサラッサの1000メートル通過57秒4に沸くスタンドのファンが、24年前に同じラップで逃げたサイレンススズカの姿を重ねていたのも分かっていなかった。

 「15馬身も前?。全然知らなくて、えーって思った。間に合わないって。パンサラッサも強い馬だから勝たれると。でもイクイノックスは冷静だったし、脚はすごかった」

 決して万全の状態で迎えた始動戦ではない。木村師は「ジオグリフのことも頭をよぎるのですが」と前置きしつつ、「ホッとしています。非常に苦労した。簡単ではなかった。ギリギリ滑り込んだし、ちょっと手探りだった。現状の完成度がどれほどなのか正直よく分かりません。この状態でこのパフォーマンス。驚きますね」と胸の内を明かした。

 調整過程で師は「ファンの多い馬」と繰り返していた。「これも時代なのか」と驚いていると言うが、厩舎には小、中学生からもファンレターが届く。中にはイクイノックスの切り絵や、木村師の似顔絵を描いて送ってくれる子どもたちもいる。「そういう気持ちに応えないといけないと思っていた」と話すトレーナーは、「将来的には海外に連れて行きたい」と世界を見据える。ルメールも「キタサンブラック産駒。この秋から来年良くなると思う」と気持ちは同じだ。

 年内は、もう1戦の見通し。指揮官は「ジャパンC(11月27日・東京)か有馬記念(12月25日・中山)を選択肢に入れられるよう努力していきたい」と気を引き締める。史上最短のキャリア5戦目で連対パーフェクトのまま古馬G1を制した天才肌の青鹿毛は、まだ底を見せていない。ファンの期待に応え続けていくため、また新たな勲章を目指す。

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