安藤勝「スカーレットだからできた」 ダイワスカーレットの37年ぶり偉業

 目下2年連続で牝馬が頂点に立っている暮れのグランプリ。当連載では過去に有馬を制した牝馬にスポットを当てた。第3回は08年のダイワスカーレットを振り返る。

  ◇  ◇

 実に37年ぶり。有馬記念における牝馬敗北の歴史を打ち破ったのは2008年、安藤勝が騎乗したダイワスカーレットだった。

 牝馬隆盛の近年とは違い、圧倒的に牡馬が優勢だった時代。「牡馬、牝馬の差が縮まったとは思っていなかった。スカーレットだからできたこと」。レース後の安藤勝のこの言葉が、当時の牡・牝のパワーバランスを明確に物語っていた。

 3歳で挑んだ前年は、マツリダゴッホの2着。ただ、馬場の悪化を計算して外に持ち出したところを、内からすくわれた形で、決して力負けとは思っていなかった。「スカーレットの力が上」。そう信じて騎乗したこの年。選んだ戦法は逃げ。掛かる可能性はあったが、迷いなく先手を奪い、堂々と進めた。

 “地方出身のジョッキーは早めに動くことが身に染み込んでいるから、中山の坂は難しい”

 笠松競馬出身の安藤勝は現役時代、中山の急坂に苦しんだ。だが、自分の短所もこのパートナーなら補ってくれる。そんな気持ちもあったのだろう。堂々逃げ切りを決めると、普段はガッツポーズをしない鞍上の右手が自然と上がった。

 その後は海外遠征を描き、ドバイワールドCを目標にしたが、浅屈腱炎を発症。志半ばでターフを去った。無念だった早期引退。それでも、牝馬として37年ぶりのグランプリ制覇という偉業は、ファンの心に残り、これからも語り継がれる。

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