【ジャパンC】矢作師 夢の続き描く「コントレイルの子どもで凱旋門賞を」

 「ジャパンC・G1」(28日、東京)

 ジャパンCを快勝した無敗のクラシック3冠馬コントレイル(牡4歳、栗東・矢作)の引退式が、レース後に東京競馬場のパドックで行われた。矢作師が自ら愛馬にまたがって登場する心憎い演出もあり、ファンの喜びも最高点に達した。コントレイルはいったん栗東トレセンへ帰厩。馬体チェックを済ませたあと、北海道へと旅立ち種牡馬として新たなスタートを切る。

 無敗3冠馬の門出にふさわしいエンディング。青鹿毛の勇姿がカクテル光線に美しく照らし出された。

 無事に、そして完璧なまでにラストランを勝利で走り終えたコントレイル。午後5時過ぎ、ダービー優勝時の「5」番のゼッケンを付けて東京競馬場のパドックに登場すると、寒空の中で待っていた4200人を超えるファンから大きな拍手が沸き起こった。その鞍上に矢作師の姿を認めると、一段と大きな声援が浴びせられた。

 パドックを2周したトレーナーは「言葉にならないです」と涙で声を詰まらせながらも、「プレッシャーとの戦いでしたけど、楽しい2年間を過ごさせてもらいました。初めてまたがりましたが、空を飛んでいるようでした。子どもも同じように飛んでくれると思います。コントレイルの子どもで凱旋門賞を獲りに行きたい」と宣言した。

 あっという間に駆け抜けた競走馬として現役生活だが、その道のりは決して順風満帆ではなかった。本格的な調教を始めた直後、脚元に不安が見つかり、育成にとって大事な1歳後半から2歳の5月にかけ、引き運動とウオーキングマシンの日々を送った。そして、世界中を暗闇に落としたコロナ禍。ファンの声援のない競馬場で無敗の皐月賞、ダービー馬になったが、喜びは半分だった。

 ディープインパクトの最高傑作。その偉大な血を後世に伝えていくため、今後は北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬入りする。お嫁さん候補に生産者の前田幸治氏は「ヨーロッパ、アメリカから輸入しています」と話した。

 ひと筋の飛行機雲(コントレイル)は、日を追うごとに存在感を増した。その航跡は永遠に、くっきりとファンの心に残り続けることだろう。感動と勇気をありがとう!

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