「寛仁親王牌　世界選手権記念トーナメント・Ｇ１」（２４日、弥彦）

　最終日の１２Ｒで決勝が争われ、平原康多（３９）＝埼玉・８７期・ＳＳ＝が新田祐大（福島）の後位に切り替えてから直線で差し切って寛仁親王牌は初優勝。１７年２月の全日本選抜競輪（取手）以来となる通算８回目のＧＩＶで、優勝賞金３０８３万円（副賞含む）とＫＥＩＲＩＮグランプリ２０２１（１２月３０日・静岡）の出場権を手にした。２着入線の新田は斜行により失格となり、大槻寛徳、菅田壱道（ともに宮城）が２、３着に繰り上がった。

　４年ぶりのＧ１優勝は格別の味だった。１７年２月の全日本選抜（取手）以来となるＧ１制覇。今年のオールスター競輪（平）にファン投票１位で選出されるなど、長きにわたって競輪界のスター街道を突っ走ってきたが「今年は落車で立て直せなかった」と度重なる負傷に苦しんだ。

　それでも「中学２年まで岩室村（現在は新潟市）で過ごした」と幼少期を過ごした新潟の地でのタイトル制覇に「スタンドから震えるくらいの応援で力をもらえた。（これまでのＧ１優勝とは）別格かもしれない。ひとつ親孝行ができたかな。ここに来て力以上のものが出せた」と思い入れあるバンクでの優勝に笑顔を見せた。

　３車で連係した関東勢と４車で連係した北日本勢との２分戦となった決勝戦。北日本勢が前受けしてセオリー通りに突っ張ったが、平原が北日本勢を分断して流れが変わった。

　最終１角で仕掛けた吉田拓矢（茨城）に合わせて新田が踏み上げると「新田君が慌てて踏んでくれた」と新田後位にスイッチしてから最後はきっちり抜け出した。後位を固めた諸橋愛（新潟）が直線で落車したため「諸橋さんとのワンツーなら心残りなく喜びだけの開催だった」と残念がるのも人格者の平原らしい一面だ。

　この優勝で今年もグランプリ（１２月３０日・静岡）の出場権をゲット。今年は既に同県の後輩である宿口陽一が出場を決めており「（グランプリは）緊張感があるけど、宿口君とは選手になってからずっと一緒だった。すごく楽しみなレースになりそう」と縦横無尽に駆けられる最強のオールラウンダーは準地元と位置づける弥彦で新たな勲章を得て、年末の大舞台を見据えた。