ディープインパクト急死…史上2頭目の無敗3冠馬 種牡馬としても数々のG1馬輩出

 歴史的名馬が死んだ。ディープインパクトが30日、けい用先の北海道安平町の社台スタリオンステーションで安楽死の処置が取られた。頚椎骨折が判明し、起立不能の状態から回復の見込みが立たなかったため。17歳だった。史上2頭目の無敗の三冠馬となり、G1・7勝を挙げるなど一時代を築き、種牡馬としても数多くの名馬を輩出した。

 突然だった。ディープインパクトはけい用先の社台スタリオンステーションで、28日にかねてから治療していた頸部の手術を受け術後の経過も安定していたが、29日の午前中に起立不能の状態に。30日早朝にレントゲン検査を行ったところ、頸椎に骨折が見つかり、回復の見込みが立たないことから、安楽死の処分が取られた。

 同馬は04年12月の阪神でデビュー。05年には皐月賞、ダービー、菊花賞を制し、シンボリルドルフ以来21年ぶり、史上2頭目の無敗の三冠馬となった。続く有馬記念ではハーツクライに敗れ、初黒星を喫したが、06年に阪神大賞典を制すると、天皇賞・春、宝塚記念とG1を連勝。凱旋門賞・仏G1に挑戦するも禁止薬物使用で失格処分を受けた。しかし、帰国初戦のジャパンCで復活V。ラストランとなった有馬記念で有終の美を飾った。

 440キロ台と小柄な牡馬で見栄えも良くなかったが、主戦の武豊が「飛ぶ」と表現した、驚異のフットワークで大活躍。最後方から大外を豪快にまくる走りで、多くのファンを魅了した。かわいいルックスも相まって、競馬界にとどまらず、世間に“ディープ”旋風を巻き起こした。凱旋門賞はNHK総合で生中継された。

 現役引退後も種牡馬として、国内最高となる51億円のシンジケートが組まれた。12年から7年連続でリーディングサイアーに輝くなど存在感を示していた。19年の種付け料は公示4000万円。牝馬三冠などG1・7勝を挙げたジェンティルドンナなど、数多くのG1馬を輩出。今年もダービーをロジャーバローズ、桜花賞をグランアレグリア、オークスをラヴズオンリーユー、大阪杯をアルアインが制している。しかし、首、腰の状態が悪いため、3月末に種付けを中止。治療に専念していた。今年種付けしたのは24頭。この世代がラストクロップとなる。

 パートナーの訃報に接し、武豊も大きなショックを受けた。全14戦で手綱を取り、牡馬三冠を含む、史上最多タイのJRA・G1を7勝。産駒でもキズナで13年のダービーを制覇。同年マイルCSをトーセンラーでV。自身に、海外、地方を含めた節目のG1通算100勝目をプレゼントしてくれた。「体調が良くないと聞いていたので、心配していたのですが、残念です。私の人生において本当に特別な馬でした。彼にはただただ感謝しかありません」とコメントを残した。

 多くのドラマ、名勝負を演じ、歴史にも記録にも残る名馬だった。あまりにも早過ぎる死。これから天国で産駒の活躍を見守っていく。

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