【VM】サウンド松山師ほれ込んだ逸材

 「ヴィクトリアマイル・G1」(12日、東京)

 83年の3冠馬ミスターシービーを筆頭に、89年ダービー馬ウィナーズサークル、95年皐月賞馬ジェニュインなどこれまで数多くの名馬を手掛けてきた松山康久調教師(69)=美浦=は来年2月いっぱいで定年を迎える。その名伯楽に久々となるビッグチャンスが訪れた。サウンドオブハートとともに17年ぶり&初の牝馬G1奪取へ胸の鼓動を高鳴らせている。なお9日に出走馬18頭が確定。枠順は10日に決まり、馬券は11日に前日発売が行われる。

 76年の開業以来、幾多の名勝負を演出し、修羅場もくぐり抜けてきた松山康師が少年のように目を輝かせた。「いつになってもG1を迎えるドキドキ感は変わらないな。調教師をやっているなあって実感するよ」と、穏やかな笑みを浮かべる。

 かつてはビッグレースの常連だったが、05年七夕賞(ダイワレイダース)でのVを最後に久しく重賞タイトルから遠ざかった。そんな師に、前走の阪神牝馬Sで8年ぶりの美酒をもたらしたのがサウンドオブハートだ。「牧場で見たときにいい馬だなあと思った。血統の裏付けがあるし、品格があり頭もいい。とにかく走る姿勢がいいんだ。しなやかに、そしてスパッと切れる、ムチみたいな馬。粘り強さもある。マイナスのない理想的な馬。なかなか巡り会えない」と賛辞は尽きない。

 一昨年の阪神JFは1番人気で3着。翌年の桜花賞も4着ともう一歩が及ばなかった。しかも桜花賞翌週には左トウ骨遠位端骨折が判明。夢は1度はしぼみかけたが、名将がほれ込んだ逸材はやはりただものではなかった。約8カ月の休養を経て復帰すると、いきなりオープン特別をV。「休ませたのが良かった。精神面でも肉体面でも、一段と成長してきた」。夢の続きが始まった。

 あと14勝。JRA通算1000勝の大台も視界に入る。「うまく折り合ってしまいを生かす競馬ができれば、接戦、うまくいけば頭ひとつ抜けてこられる」とうなずく。17年ぶりのJRA・G1制覇へ‐。「あと3日、しっかり仕上げたい」。はやる気持ちを抑えながらも、その視線の先にあるのは表彰台のテッペンだ。

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