誰も住まない実家は維持?売却?→実家維持に必要な費用の内訳とは【FPが解説】

大阪府で暮らす40代のAさんには、九州の地方都市に実家がある。実家には、母親が亡くなった後1人暮らしをしていた父親が住んでいた。しかし体調を崩したことをきっかけに、父親はAさん夫婦と同居することになった。

父親が引っ越しをすることで実家は誰も住まなくなるが、Aさんはすぐに売却しようとは考えなかった。もしかしたら「父が元気になれば帰りたいと言うかもしれない」と考えていたからだ。

そこで実家の維持についてAさんは妻に相談してみると、妻は「維持するのはいいけど、それってどれくらいお金が必要になるの?」と尋ねる。妻の疑問を解決すべく、Aさんは実家の維持費を計算してみた。すると空き家の維持には、固定資産税、火災・地震保険料、電気と水道の基本料金だけでなく、庭の草刈りや様子を見に行く交通費も必要なことが分かった。

実家の維持にこれほどお金がかかると考えていなかったAさんは、実家をすぐ売るべきか、それともしばらくは維持してみるべきか、頭を悩ませてしまう。

では、誰も住んでいない実家を維持するには年間どれくらいの費用が必要なのだろうか。また、もし実家を売却する場合でも費用が発生するのだろうか。ファイナンシャルプランナーの川部紀子さんに聞いた。

-Aさんが実家を維持する場合、年間で必要な費用はどれくらいでしょうか?

物件や立地によって異なりますが、年間50万円程度かかるケースもあります。固定資産税や保険料、光熱費、草刈り、遠方なら交通費などが必要です。

国土交通省の調査でも、空き家全体の約3分の1で年間10万円以上の維持管理費がかかっています。さらに修繕が発生すれば、その年の負担は大きくなります。

-では実家を売却する場合は、とくに費用は発生しないのでしょうか?

売却にも費用はかかります。不動産会社への仲介手数料や印紙税のほか、状況によっては家財の処分、測量、建物の解体などにも費用が必要です。

また、売却益が出れば譲渡所得税がかかる場合もあります。売却価格だけでなく、こうした費用を差し引いて最終的にいくら残るのかまで確認することが大切です。

-実家じまいを考え始めるきっかけには、どのようなものがありますか?

親が高齢者施設へ入居したり、子どもとの同居を始めたりして、実家に住む人がいなくなることが一つのきっかけです。

また、親が亡くなり家を相続してから考え始めるケースもあります。親の住まい方が変わるときは、それまで先送りしていた実家を今後どうするのか、家族で具体的に考える機会です。

-実家じまいを始めるのに適したタイミングはあるのでしょうか?

理想は、親が元気で自分の意思を伝えられるうちです。将来も住み続けたいのか、売るのか、貸すのか、家財をどうしたいのかを本人に確認できます。

空き家になってから慌てて決めるのではなく、Aさんのように親との同居や施設への入居が決まった段階から、家族で話し始めるとよいでしょう。

-実家じまいを先延ばしにしたことで、費用や作業の負担が大きくなった事例はありますか?

大量の家財を残したまま高齢者施設に入ったり亡くなるなどして、その後何年も空き家になっているという事例が数多くあります。庭の手入れなど近所からの苦情も入り、作業をする兄弟姉妹の揉め事にも発展するなど大変な状況でした。しかし、片付けや建物の解体を業者に依頼すると数百万円規模の費用がかかることや家族との話し合いが長引くなどにより、家の処分にも時間を要しています。

このように実家じまいを長期間先延ばしにすると、片付けに時間や労力がかかるだけでなく、いざ処分するときの費用が大きな負担になることもあります。

◆川部紀子(かわべ・のりこ) ファイナンシャルプランナー

保険会社勤務8年間を経て、現在は「FP・社労士事務所川部商店」代表として、ファイナンシャルプランナーおよび社労士の業務にあたる。お金に関するキャリアは30年超え。個人レクチャー、講演の受講者は3万人以上。

(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)

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