生前整理の親子間ギャップ 手伝いたい子と手伝ってほしくない親 解決策は日常的なコミュニケーション
お盆明けは、実家への帰省で親の体調などの変化に気づき、今後の親の暮らしや介護、終活に関心が高まる時期だ。生前整理・片付けの問題は、親が元気なうちに相談しておいた方が良いものだが、離れて暮らしているとなかなか難しい面もある。老人ホーム・介護施設検索サイト「LIFULL 介護」はこのほど、持ち家に居住し子供と別居している「親世代」の65歳以上の男女537人と、親と別居している40~50代の「子世代」の男女477人を対象に「生前整理・片付けに対する意識調査」を実施、結果を公表した。
自身の家に、生前整理・片付けが必要かどうかを親世代に聞いたところ、「思う(44.9%)」と「やや思う(34.1%)」を合計した79%、およそ8割が必要だと考えている結果となった。子世代も「思う(33.8%)」、「やや思う(33.8%)」の合計が67.6%で、親子で共通して多くの人が家の片付けの必要性を実感している。
子世代に、親の生前整理・片付けを手伝いたいかを尋ねたところ、「思う(31.9%)」「どちらかといえば思う(43.2%)」を合計した75.1%が前向きだった。一方、親世代では「どちらかといえば手伝って欲しくない(33.3%)」「手伝って欲しくない(26.3%)」を合わせた59.6%が子供に手伝って欲しくないと回答した。
「手伝ってほしくない」と回答した理由では、「自分が判断することだから(75.3%)」が最も多く、「子供に迷惑をかけたくないから」が41.2%で続いた。親世代としては、所有品の要不要を判断することは当事者として自身が行うべきことであり、子の手を借りるべきではないことと考えている傾向がありそうだ。
生前整理・片付けをどの程度進めているかを親世代に聞いてみたところ、「夫婦、親子で片付けを進めている(14.6%)」「自身だけで片付けを進めている(26.2%)」「子や家族が進めているが自分は関与していない(0.5%)」を合わせて、実際に片付けをしている人は41.3%と4割にとどまった。一方、47.9%が「着手したいと思っているが何もしていない」と回答した。
着手していない理由では、「まだ先だと感じる(49.8%)」が最も多く、「何から手をつけていいか分からない(44.8%)」「体力や気力がない(29.1%)」と続いた。
子世代に生前整理などで不安に思うことを聞いたところ、最も多かったのは「何から手をつけていいかわからない(47.2%)」で、「気力・体力的に負担が大きそう(42.9%)」も上位となり、親世代が生前整理・片付けに着手できない理由と共通している。
LIFULL介護編集長・小菅秀樹さんの話「今回の調査では、親の生前整理について『手伝いたい』という子世代が8割に上った一方で、親世代は『子に手伝ってほしくない』という声が多数派でした。親は『迷惑をかけたくない』という思いから、片付けや生前整理を“自分の問題”として抱え込む傾向が浮かび上がります。帰省のタイミングで親に、『家のなかを片付けたほうがいい』と伝えても、反発された経験がある方も多いのではないでしょうか。日頃あまり連絡を取らない子どもが、久しぶりに帰省して耳の痛い話だけをして帰る。これでは親が受け入れにくいのも当然です。ポイントは、帰省時だけでない日常的なコミュニケーションです。日ごろから体調や暮らしを気遣うやり取りを重ねることで、やがて片付けや生前整理の相談にも耳を傾けてもらいやすくなります」
(よろず~ニュース調査班)
