「お盆飾り」世代が上がるごとに実施傾向高まる しない理由「同居する人の構成が変わった」など
もうすぐお盆です。実家へ帰省してご先祖様をしのぶ機会も多い季節。仏壇・墓石の販売、屋内墓苑の受託販売、終活支援を手がける株式会社はせがわはこのほど、同社のアプリ会員4353人を対象に「お盆行事に関するアンケート」を実施、結果を公表した。
調査によると、お盆飾りを行う割合は30代以下で58%だったが、世代が上がるごとに高まり、60代以上は7割を超えた。
実際に用意するものは「盆提灯」や「生花」「盆花」のような華やかなアイテムが圧倒的に支持され、「牛馬飾り」や「御料具膳」「ほおずき」などの伝統的な飾りも根強い人気を保った。一方で、「ミソハギ」や「水の子」「十三仏の掛軸」といった、お店で売られていなかったり、取り扱いが少ないものは選ばれていないようだ。手軽に空間を彩るアイテムを優先し、伝統的要素は簡略化する現代的なスタイルが読み取れる。
お盆飾りを続ける主な動機は「故人やご先祖様への想い」や「家族の中での習慣」で、特に50~60代の選択率が高くなった。お盆行事が習慣として根付いていることがうかがえる。一方、社会的体裁としての必要感はどの年代でも低く、他者からの目線よりも、自身の想いが優先されている。
お盆飾りをしなくなった理由では、身内の死去など「同居する人の構成が変わった」が最も多かった。70代以上では、お盆飾りをやめる主な要因として「供養に一区切りがついたこと」と「体力的な負担の大きさ」が際立った。高齢期ならではの儀礼的な節目と身体的な負荷が、お盆飾りをやめる判断に大きな影響を与えているようだ。
お盆飾りのほかに行うことでは、「お墓参り」が圧倒的に多く、先祖への敬意を示す基盤的な行為であることがうかがえる。次に「迎え火・送り火」「ご住職による読経」が続き、儀礼行為も重視されていると言える。一方で、「新盆宅へのお供え物届け」「お盆お参り客への返礼品贈呈」といった相互訪問やおもてなしの習慣は、その機会が減っている。
これからのお盆行事については、全体的には「自由な形式にした方がよい」という声が多く、全世代の約半数(53.6%)が選択している。また、その支持率は年代が下がるほど顕著になった。年代が高まるほど「習慣に則って続けていく」姿勢が強まっている。全世代で「無理して行う必要はない」とする意見は一貫して少数派だった。
同社は「故人やご先祖への敬意を保ちつつ、現代の価値観や生活スタイルに合わせて、かたちや道具がより柔軟に変化していく傾向に進みそうです。例えば、大ぶりな飾りは控えめになり、代わりに手軽な『ミニ飾りセット』や『オンライン供養サービス』が増えていくかもしれません。こうした変化を通じて、伝統と現代的な利便性がほどよく両立した、新しいお盆文化が徐々に根付いていくことが予想されます」と分析している。
(よろず~ニュース調査班)
