エヴァの“卒業式”を具現化、シンジ役・緒方恵美の「贈る言葉」

注目を集めた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の来場御礼舞台挨拶(3月28日、東京・新宿バルト9)で、ある考察が“完全鎮火”したのではないだろうか。その考察とは“エヴァは終わっていない”というもの。随分と下火にはなっていたものの、主人公・碇シンジを演じた緒方恵美が壇上でキッパリと完結に言及したことは、まだモヤモヤがくすぶっていたファンをスッキリさせたように見えた。

作品内容やパンフレット等を鑑みると不思議にも映るが、3月8日の公開初日直後は、一部でさらなる続編の可能性を唱える者がSNS上をにぎわせていた。主な根拠は劇中のセリフ「サヨナラは、また会うためのおまじない」だった。その後、岡田斗司夫ら識者による多くの考察、庵野秀明監督を追ったテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル」(3月22日放送)などから、もはや誰もが“完結”を疑わなくなった状況で迎えた舞台挨拶だった。

緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、三石琴乃、山口由里子、石田彰、立木文彦、岩永哲哉、岩男潤子、長沢美樹、優希比呂、伊瀬茉莉也、勝杏里、山寺宏一の声優14人が登壇。シリーズとしては24年ぶりの舞台挨拶に、緒方は感慨深げに「これだけのメンバーがそろうのは最初にして最後の機会だと思います。ここへ来るのを、とても楽しみにしていました」と、幕開けのあいさつを行った。

声優陣から数々の感想やエピソードが引き出されて迎えたラスト。緒方は庵野秀明監督へのコメントを求められると「今作は相づちを打って話を聞く係なのがシンジ。皆を“送り出す”作業でした。観終わったあとは『庵野さんおめでとう』と送り出した気持ちでした」と語った。

その上で「テレビシリーズの最終回でシンジが輪の中心になってみんなに『おめでとう』と言われていたのとは違い、今回は自分から離れていく皆さんに『おめでとう』と声を掛けて送り出していき、そして自分が残ったような…。本当に『庵野さんお疲れ様でした』という気持ちでいっぱいです」と続けた。

まさに“卒業式”のような作品の本質を、丁寧に語ってみせた緒方。「数年後に見直すと、また違った新しい思いが発見できると思います」と、偉大な作品への敬意も忘れなかった。貴重なチケットを入手できた館内のファンも、一時代の終わりを共感したのではないだろうか。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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