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開館13年目でもまだ段ボール50箱が…米沢図書館を悩ますサブカル同人誌の整理

背表紙が一大絵巻になっている、歴代コミケカタログを並べた背表紙
3枚

 「8合目は越えたと思いたいですね」

 そう、つぶやいたのは、明治大学が運営する米沢嘉博記念図書館(東京都千代田区)の司書、三崎絵美さんだ。同館は2009年に開館。コミックマーケット創立メンバーとして知られ、06年に53歳の生涯を閉じた評論家、米沢嘉博氏が残した約14万冊の蔵書を基盤としている。

 膨大なマンガ雑誌、学習雑誌、コミック本、マンガやアニメの情報誌、評論本、さらにはカストリ誌(戦後まもなくの風俗誌)は大部分の保管、整理を終えた。残された“難所”は段ボール50箱分程の同人誌だという。

 これまでも同人誌の整理を行ってきたが、他ジャンルより難しい側面がある。主な理由は2つ。

 (1)表記のゆれ(タイトル、著者、発行日など基本的な情報の表記が不統一で、表示がないなどイレギュラーが多い)

 (2)分類の難しさ(オリジナル作品か、パロディなどの二次創作かの判断など)

 「本づくりのプロではない人々も、自由な発想でのびのびと作り出すことが叶えられてきた影響だと思います」と三崎さん。同人誌の魅力を物語る理由でもあった。短歌や俳句の同人誌、自分史や郷土研究など、一般流通しない資料を所蔵している機関は珍しくない。大きさや状態を確認し、タイトルなどを登録する流れは同じだ。

 同館が整理している同人誌は20~60ページほどのものが多いが、200ページを超えるものまで多種多様。厚みこそないが、まとまると重い。書架にブックエンドを多く挟み、資料にバーコードを直接貼らず装丁をそのまま残すなどの工夫が施されている。分類は複数の担当者が、作中のキャラクターなどを調査して決める。

 高橋留美子やCLAMP、最近では大童澄瞳など、同人誌出身作家は多い。三崎さんは「活躍する作家が作品を残していることも多く、今後、研究が進んでいくと重要な資料になると思われます」と話す。その上で「特別な作家だけでなく、マンガや文章を多くの人々が表現してきたこと自体が貴重であり、まとまった量があればこそ、それぞれの時代性を感じる手助けになります」と語った。

 残された同人誌はマンガや小説はもちろん、評論や独自の研究をまとめたものなど、米沢氏が存命中の1970年代から2000年代のものが中心。有名作家から怪奇、エログロまでディープすぎる作品群が控えている。

 三崎さんは「作り手の幅広さ、表現という奥行の深さを感じさせるコレクションは、マンガ評論家、コミックマーケットとして同人誌即売会の場をつくり続けた米沢氏の、興味そのものを映した姿ではないかと感じています」と、コレクションの面白さを語った。開館13年目を迎えた同館。“完登”を目指して、歩みを進めていく。(デイリースポーツ・山本鋼平)

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