デビュー40周年のピアニスト西村由紀江 記念アルバム収録の40曲は「全てよみがえってきます」
ピアニストで作曲家の西村由紀江(59)が今夏、デビュー40周年を記念した3枚組ベストアルバム「40th Anniversary ALL TIME BEST」をリリースした。10月10日には神戸新聞松方ホールで「40th Anniversary 西村由紀江ピアノコンサート」を開催する西村が40年を振り返るとともに、来年迎える還暦のプランも明かした。
西村は40周年を「1年1年必死で積み重ねてきているので、数えたら40年」と振り返った。
デビューは18歳だった。手が小さいためクラシックのピアニストは早々に断念したが「コミュニケーションを取るのが苦手だったので、話し相手としてピアノしかいなかった。気持ちを曲で表現するようになりました」と作曲を開始。「自分が作った曲は自分の手の大きさで弾ける」というメリットも見つけた。
そんな西村に目をかけてくれたのがヤマハの川上源一理事長(当時)だ。「メロディーを初めて気に入ってくれたのが、小学校2年生の時に作った曲」だというから西村の早熟ぶりが分かる。演奏家としても成長していき、ヤマハの先生やスタッフからオリジナルアルバムの企画が発信されてデビューに至った。
40年間で大きな転機は二つあるという。一つ目は大ヒットドラマ「101回目のプロポーズ」の音楽を手がけたことで「ピアノ音楽を広く知ってもらえるきっかけになった」と感じている。二つ目は10年目にピアノソロだけのアルバムを作ったことで「こんなに自由に表現できるんだっていうのをすごく実感した」と可能性が広がった。
今回のベスト盤は40枚のアルバムから40曲を選んだ。「聴き返してみると、その時代に出会った人とか、心ない言葉に傷ついたこととか、助けてもらったとか、そういうことが全てよみがえってきます」と述懐する。かつては「弾くのに必死で周りが見えてなくてまっしぐら」だったが、今は「ちゃんと考えながら音色を出しているので音色は圧倒的に進化している」ことも自覚した。
最後に新曲の「Energy」と「キ・ラ・リ」を収録。「始まった時の不安だった、先が見えなかった自分から、40年たって最も伸び伸びと音楽に向き合えている自分を表したい」と作ったのが前者、「アンコールのように軽く明るく」聴けるのが後者だという。
10月10日には神戸新聞松方ホールでコンサートを行う。同所では何度か演奏しており、「ピアノが生でちゃんと伝えられて。(多目的ホールとは)音の返りとかも全然違う。クラシックの品格のあるホールで演奏できるのは貴重です」と今回も楽しみにしている。
来年は還暦を迎える。「衣装は赤なんだけど、ピアノも赤くしたいねってスタッフと話しています」と笑顔で記念プランを明かした。西村由紀江は60代も止まらない。
◆西村由紀江(にしむら・ゆきえ)1967年5月8日生まれ、大阪府出身。作曲家、ピアニスト。3歳でピアノを始め、小学時代にヤマハジュニアオリジナルコンサートに参加、世界各国で演奏。86年、桐朋学園大入学と同時にデビュー。「101回目のプロポーズ」、「親愛なる者へ」などのドラマや映画、CMの音楽を多数手がける。2023年、葉加瀬太郎、柏木広樹と「NH&K TRIO」結成。24年、アルバム「Adagio」で日本ゴールドディスク大賞のインストゥルメンタル・アルバム・オブ・ザ・イヤー受賞。
