日韓合同番組での審査コメント大半がカットされていた…岩田剛典が海外進出に懸ける思いと”サプライズ予告”
三代目 J SOUL BROTHERSの岩田剛典(36)が、海外進出に懸ける思いを語った。2025年はユニバーサルミュージックとタッグを組み、初のアジアツアー、そして日韓共同制作ヒップホップガールズグループプロジェクト『Unpretty Rapstar : HIP POP Princess』への参加と、これまで以上に多岐にわたる活動を展開してきた。彼を突き動かした危機感、そしてあえて予測のつかない挑戦を始める理由とは-。18日夜に配信されるHIP POP Princess最終回での「サプライズ」の可能性も含めて言及する。
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-2025年の活動を振り返って
岩田剛典(以下「岩田」)「グループメンバーとして、ソロのアーティストとして、そして俳優として映画に出演したりと、本当にいろいろな活動をやらせていただいたなと感じています。その中でも、音楽活動で言えばやはりユニバーサルミュージックと新たにタッグを組み活動を本格化したのが大きかったです」
(続けて)
岩田「海外進出を見据えての決断だったんですが、他にも日韓合同プロジェクトの『HIP POP Princess』への参加もそうですし、JATA(一般社団法人日本旅行業協会)さんに海外旅行アンバサダーに起用いただいたりなど、海外への意識が強まる機会がとても多い1年になりましたね」
-海外を意識するようになった経緯は
岩田「数年前にパリコレに招待していただく機会がありました。おかげさまで、世界中の誰もが知っているようなスーパースターたちに会えたんですが、それだけではなくその並びでインタビューを受ける状況にもなりました。そのことに、すごく違和感を覚えたんです」
(続けて)
岩田「言うまでもなく、自分はグローバルなスターなんかではない。それが、日本を代表するという枕詞(まくらことば)とともに、本物のグローバルスターと並ぶことになった。いろいろな方のご配慮、ご厚意のたまものではあるのですが、結果として自分自身を見つめ直すきっかけになったというか。コンプレックスの裏返しで『自分とは何なのか』とか『アーティストの本質とは』みたいなことを考える機会になりました」
-いつかその場所に本当にふさわしい存在になりたいと感じた
岩田「そうですね。変わらないといけないと思いました。ただ、どうしても日々の忙しさ、目の前にある仕事に追われてしまう。表舞台に立つ人間として、今あるファンの皆さんの要請に応えることや、明日につなげていく作業を、どうしても重視する必要がありました」
(続けて)
岩田「自分のコアの部分では、パリコレで直面した現実にあらがわなきゃいけない、変わっていく準備をしなきゃいけないと分かってはいました。ただ、時間や忙しさを理由にこの数年、自分の課題に向き合ってこなかった。でもその課題を乗り越える必要性が、いよいよはっきりと浮き彫りになってきた。これをやらないことには次がないというか、次のステージに行くにはもうそれしかない、という現実に直面したという感じです」
-ずっとその問題意識を持ち続けられた理由は。
岩田「20代前半の頃のような、怖いものなしでがむしゃらに何でも飛び込んでみる、みたいな思いって、仕事が長く続くとだんだん薄れていくんです。世の中から期待されるものがどんどん増えていくのもありますし、場数を重ねるにしたがって経験値に頼って安全な仕事ができることも増えていくわけですよね。やったことがある。知っている。分かりきっている。そういうことが増えていく」
(続けて)
岩田「うまくいくかどうかも分からない、成功も失敗も自分の努力と実力次第、みたいなことがだんだんなくなっていくんですよね。そうやって、自分が積み上げてきたものや経験値に頼って生きていくなら、この先10年、20年先に成し遂げられることも何となく見えちゃうというか。そういうことにならないようにと、あらがいたい自分がずっといる。そういう感じだったんだと思います」
-安住を求めない性分
岩田「そうかもしれません。コンフォートゾーンに身を置き続けて、それが幸せか、その人生にとってそれが豊かだと言えるのか、みたいなことはどうしても考えてしまいます」
(続けて)
岩田「ちょっと小難しい言い方になってしまいましたが、つまりは『ずっとワクワクしていたい』っていうことかなと。やっぱり生きる上で感動し続けたいし、エンターテイナーとして、刺激がなくなっていくことが一番怖い。自分が感動や刺激を感じていないのに、ファンの皆さんにだけそれを感じてもらうというのは、あまりにも虫が良すぎる考えのような気がしています」
-海外への挑戦の第一歩として、まずアジア進出に踏み切った。
岩田「アジアツアーはやっぱり大きいですよね。言語が違う国々の方々の前でパフォーマンスをしてこなかったので。それからマーケティングの意味でも、自分が俳優として、そしてアーティストとしてどれぐらい海外で認知があるかっていうのも、正直わからないままスタ-トする部分はあるんです。大きな会場を確保したものの、ちゃんとファンの皆さんが埋めてくださるかどうか、とか」
-アーティスト人生を懸けた勝負になる。
岩田「そうですね。事務所でもあまり前例がないので、知見があるスタッフに守られて開催するというよりは、スタッフと一緒に手探りで企画して動いているような感じです。不安や緊張はもちろんつきまといますけど、それと同時に、未知の世界に対しての期待感もありますよね」
(続けて)
岩田「今まで自分が出演してきた作品であったり、リリースした3枚のアルバムであったり、そういうものも含めて、本当に自分の今までのキャリアを全部ぶつけるような感覚でお届けすべき時間だと思っています。本当にこれが第一歩なんで」
-日韓合同プロジェクト『HIP POP Princess』へも参加している。
岩田「以前だったらおそらく、こういうオファーはお断りしていたと思います。僕はもともとプロデューサー業は、現役を引退した人がやるものだと思っていました。だから、そこに手をつけてしまうと『表舞台から引退した人』というような印象を世間から持たれてしまうんじゃないかと」
(続けて)
岩田「でも今回、メインプロデューサーのひとりとして審査に携わるオファ-をいただいた時に、国際的なプロジェクトで、自分のプロデュース楽曲などを通してアーティストとして海外に認知を広げることができるチャンスであると感じました。番組の企画内容をみても、そこにつながるポイントがいくつもあった。これに懸けてみよう、と参加を決めました」
-実際にプロジェクトが始まってみて感じるところは。
(続けて)
岩田「日本と韓国の番組の作り方の違いを大きく感じましたね。長年日本の芸能界しか知らないので、驚きました。それから、シンプルに海外のユーザーからの認知がものすごく増えました。韓国のメディアって、アジア中というか世界中からアクセスされているんですよね。その恩恵に、僕もかなりあずかっています」
(続けて)
岩田「おそらく、今回の『HIP POP Princes』出演期間だけで、これまで15年以上のキャリアでつくれた海外からの認知を大きく超えましたね。南米とかヨーロッパとかからもアクセスされて。K-POPというジャンルの強さとの相乗効果だとは思いますが、韓国メディアの世界的な影響力を強く感じる機会になりました」
-2026年をどのような年にしたいか。
岩田「来年も忙しくはなるのですが、その中でもしっかり『働きすぎない』ことを意識したいなと。忙殺されてしまうと、感性が失われていくような感覚もあって。いろんなものを見たり聞いたり感じて、表現者として蓄える時間を、アウトプットと同等に設けたい。難しいとは思うんですが、そこをあきらめたくない」
(続けて)
岩田「僕が届ける表現、作品について、本質的なクオリティーを高めたい。海外に進出すれば、僕のことを知らない人はたくさんいます。その人たちに対して、胸を張って自己紹介になるような作品を生んでいくことが、ここからのフェーズは必要だと思っています」
(続けて)
岩田「あとはどこまで行っても、ファンの皆さんありきの仕事ではあるので。別に海外に移住するわけでもないですし、日本人として海外で活躍する姿をみていただきたいという気持ちはあります。スポーツ選手がやっているようなことをやれたらいいなって思うんですよね」
(続けて)
岩田「アスリートの方々は世界をまたにかけて戦ってらっしゃって、心から尊敬します。本質だけで勝負している。海外の洗礼も必ずあると思うんですが、それを乗り越えて世界に認められている。僕もそこに少しでも追いつけるように成長しなきゃ、と思っています」
日本時間18日午後10時からは『HIP POP Princes』の最終回がU-NEXTでライブ配信される。真剣に語り続けていた岩田が、最後に相好を崩して言う。
岩田「今までの配信をみていた方は、びっくりされるかもしれませんね。本当はこんなにたくさんコメントをしていたのかと」
これまでの放送回を見る限り、岩田の審査コメントは終始、非常に短いものだった。だが収録に立ち会ったスタッフなどによれば、実際には参加者ひとりひとりに、それぞれ3分を超えるような熱のこもったコメントを寄せ続けていたという。
最終回はライブ配信。カットのしようもない。このインタビューのような情熱的なコメントが、最終回では余すところなく世界に向けて発信される。
岩田「勢いあまって、10分くらいしゃべってしまうかもしれません(笑い)。いずれにしても、最終回を楽しみにしていただきたいと思っています」
