鈴木京香 元阪神・横田慎太郎さんの半生「多くの人に知ってもらいたい」撮影中にも“奇跡”何度もあった

 脳腫瘍のため、2023年に28歳の若さで死去した元阪神・横田慎太郎さんの半生を描いた映画「栄光のバックホーム」が28日、初日を迎えた。俳優の松谷鷹也(31)と鈴木京香(57)のダブル主演。鈴木は松谷演じる横田さんの母・まなみさんを熱演している。このほど、鈴木がインタビューに応じ、観客に伝えたい思いを語った。

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 横田さんを支えた母・まなみさんを愛情たっぷりに演じた鈴木は「1人でも多くの人に横田慎太郎さんという、素敵な選手のことを知ってもらいたい」と力を込めた。

 横田さんの自著「奇跡のバックホーム」とその人生の軌跡を描いた「栄光のバックホーム」が原作。横田さんの野球選手としての雄姿と、引退後の家族や仲間、恋人との知られざる軌跡が描かれる。

 横田さんは阪神タイガースの若きホープとして将来を期待されながらも、21歳で脳腫瘍を発症。引退を余儀なくされるも、最後の試合で魅せた奇跡的なラストプレーが人々の胸を打った。

 オファーを受けた2023年は、阪神が18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一を決めた年。鈴木も「優勝の瞬間をテレビで見ていた」という。「(横田さんの)ユニホームを持って入ってくる選手がいて、(ユニホームと一緒に胴上げされる、横田さんとドラフト同期の)岩崎選手がいて。みんなに『横にも見せたい』みたいな気持ちがあった」と感銘を受けた。

 映画の撮影中、横田さんを感じる“奇跡”が何度かあったという。「急に雨が降ってきて、それが監督の望んだとおりのタイミングだった。逆に雨が降っていたけど、撮影の時はすごくきれいによく晴れたりとか」。天国の横田さんのおかげかもと、現場では自然と「あっ、慎太郎さんが見に来てるね」と温かい言葉が飛び交った。

 「(父・真之さん役の)高橋克典さんのところにかわいいバッタが飛んできて、胸に座って。何度離しても、何度も(戻ってくる)。またぴょんって乗るんです。その若々しいバッタが何となく、元気いっぱいの慎太郎さんみたいな感じに見えた」

 思いを馳せながらの撮影を通して横田さんの「努力を重ねてきた」姿に心を打たれ、気付けば大ファンになっていた。「(阪神2軍の)平田(勝男)監督が『横は本当に毎日、毎日努力して頑張った選手。“奇跡のバックホーム”と言われたけど、あれは、ほんまは奇跡じゃないで。横の努力のたまものや』という風におっしゃっていた」と振り返る。

 母を演じるにあたって、心がけたのは「とにかくほほ笑んでいる」ことだった。まなみさんの取材映像について「本当におつらいことも多かったでしょうに、とにかく皆さんに『慎太郎をかわいがってくれてありがとう』と。穏やかに、息子にも周囲にも感謝を伝えている姿が印象的だった」という。

 母は慈愛に満ちていた。「息子への誇らしい気持ちを大切にしたい。いつも自慢の息子をほほ笑んで見ている気持ちでいよう」と演技の軸が決まった。

 鈴木は、役を通じて「好きなことに打ち込めている時間は、なんて幸せなんだろう。俳優業をさせていただいている状況に本当に感謝しなくちゃいけない」と痛感。「一生懸命に何か努力をしている皆さんの心をきっと打つ映画になったと思う。是非たくさんの方にご覧いただきたい」と熱く呼びかけた。

 ◇鈴木京香(すずき・きょうか)1968年5月31日生まれ。宮城県泉市(現・仙台市泉区)出身。89年の「愛と平成の色男」で女優デビュー。91年にNHK連続テレビ小説「君の名は」でヒロインを務める。22年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」などに出演。取り壊しの危機にあった東京渋谷区の建物「ヴィラ・クゥクゥ」を保存、再生したことが評価され、23年4月に日本建築学会文化賞を受賞。

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