【ヤマヒロのぴかッと金曜日】後手後手の万博早く安心して行けますように

 ミャクミャク
 大阪メトロ中央線が運転見合わせとなり、万博会場で座り込む人たち=13日
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 今月13日夜から14日朝にかけて大阪メトロ中央線で停電が発生し大阪関西万博を訪れていた約3万人が会場内に足止めされた問題では、万博協会の後手後手の対応が浮き彫りになった。対応の遅れは、先月30日カムチャツカ沖で発生した地震による津波の際、到達予想時刻を過ぎた後に会場アナウンスしたのに続き今回が2度目である。

 この日この場所に居合わせた吉本新喜劇の俳優・森田まりこさんが、3日後に、レギュラー出演する『かめばかむほど亀井希生です』(MBSラジオ)の中で当時の様子を生々しく振り返っている。

 「吉本興業パビリオンでの仕事を終え、一人で水上ショーと花火を堪能して東ゲートを出たのが午後9時前。この時はまだ中央線は通常運行していた。夢洲駅前の東エントランス広場は同時刻に帰る人であふれ、決められた迂回(うかい)ルートに並ぶも牛歩並みにしか進めない。並び始めて5分ほどたった頃、人の動きが止まった。『なにか電車のトラブルが起きているらしい』SNSで情報を得た人の声に周囲がザワつく中『ただ今、中央線が運転を見合わせております』との会場アナウンスの声。ザワつきが、悲鳴とどよめきに変わる。その後も同様のアナウンスしか流れず、耐えきれずにしゃがみ込んでしまう人。立入禁止区域に入るのを制止されスタッフにかみつく男性。一方で、秩序を守ろうとする人も大勢いた。持っていた一個のおにぎりを分け合う女性グループ。どうなるんだろうと不安がる母親に『ママ、大丈夫だよ。何とかなるから元気出していこう』とけなげに励ます小学生の男の子。希望を持ちながら一時間ほど待ったとき、突然『いったん会場内にお戻りください』との案内があり、先ほどとは違った悲鳴の声があちこちで上がる。冷静でいようと自分に言い聞かせ、家人に連絡を入れた後、スマホの残量を気にしながら会場内を移動し、よしもとパビリオンに向かうも既に明かりはない。いったんは絶望するもラッキーだったのは西ゲートのすぐそばまで来ていたこと。そこから外に出てさらに一時間ほど待って桜島駅行きのバスに乗ることができ、JRとタクシーを乗り継いで、午前2時ごろようやく帰宅することができた」

 暗い会場を一人さまよい、空腹と疲労の中、どれほど不安だったことだろう。森田さんは次の日から非常食をカバンの中に入れるようになったという。

 今回、36人が救急搬送され、大事には至らなかったが熱中症が疑われる人も出た。場内では自主的に受け入れてくれた海外パビリオンもあったが、どのパビリオンで休憩所を優先的に開放するかを協会は事前に決めていなかった。半年間も続く一大イベントを運営する組織としてお粗末極まりない。トラブル直後、まるで人ごとのように語る幹部の発言にも違和感を抱いてしまった。

 18日になってようやく石毛事務総長がおわびとともに、情報提供や一時滞在施設への誘導などを検証し、改善すると明言したことに期待したい。55年ぶりに大阪で開催されている万国博覧会。このコラムでも、スタート時にワクワクした気持ちを書かせてもらった。最後まで無事に運営されることを心から願っている。(元関西テレビアナウンサー)

 ◇山本浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。

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