吉永小百合 サプライズ登壇 丸の内TOEI閉館「なくなってしまうのはつらい」65年の歴史に幕

 映画配給会社・東映の最後の直営館となった東京・丸の内TOEIの最終上映グランドフィナーレが27日に行われ、65年の歴史に幕を閉じた。最後の上映前イベントには、サプライズゲストとして俳優・吉永小百合(80)が来場。思い出の地の閉館を悲しみ、声を詰まらせた。また、7代目となる東映の吉村文雄社長(60)が満員の会場のファンにあいさつし、感謝の思いを告げた。

 舞台の袖から吉永が姿を見せると、会場がどよめいた。65年間の歴史を締めくくる最後の上映は、2014年に死去した俳優・高倉健さんと初共演にしてダブル主演を務めた「動乱」。“大トリ”にふさわしい作品と主演の登場に、満員のファンから割れんばかりの拍手が響き渡った。

 吉永は、映画公開4日前の1980年1月15日に舞台あいさつしたことに触れ「私はこの映画で映画作りの素晴らしさを心から感じました。最後に高倉さんと2人の刑務所のシーンを撮り終えた時、真夜中だったんですが、お食事にスタッフの方達と誘っていただいて健闘をたたえ合いました」と振り返った。作中では青年将校の妻を演じ「その時に私はもう一度、映画の世界でしっかりと仕事をしていこう、映画俳優として頑張ってみようと思いました大切な大切な作品です」と大きな転機になったという。

 この場所で「20本の映画のごあいさつをこちらでやらせていだいた」と吉永。思い出は計り知れない。自身でチケットを購入し、客席後方で出演作の観客の反応を観察したことも明かし「この劇場で見たことは今でも、忘れられません。本当にすてきなすてきな劇場で、なくなってしまうことはつらいです」と声を絞り出した。

 丸の内TOEIは、1960年9月20日にオープン。19、20日には「丸の内東映落成記念式」が行われ、美空ひばりさんらが登場した。銀座の一等地に地上8階地下3階建ての本社オフィスおよび直営映画館が含まれた大型ビルは街のシンボル的存在でもあった。

 だが、老朽化もあり再開発の対象に。最後のあいさつで吉永は「きっと空の上で、高倉健さん、森谷司郎監督、岡田裕介プロデューサーもご覧になっていらっしゃると思います」としみじみ語りつつ、「この劇場はなくなりますけれども、映画館にお運びいただいて映画を見ていただきたいと願っています」と祈りを込めて呼びかけた。

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