学歴詐称疑惑で辞任→出直し選出馬の田久保真紀市長 道義的非難は免れない“証書”チラ見せ【弁護士の見解】
静岡県伊東市の田久保真紀市長(55)は7日、同市内で記者会見を実施。学歴詐称疑惑などの問題を受け「短期の内に辞任する」と表明した。一方で、辞任後に行われる市長選挙には“出直し”で出馬することも明言。自身を巡るさまざまな疑惑については、静岡地検に上申書と証拠を提出し、判断を委ねるとした。これに先立ち市議会は、市長への辞職勧告決議を全会一致で可決した。一連の問題について、「弁護士法人ユア・エース」の正木絢生代表弁護士が取材に応じた。
田久保市長が結果的に学歴を詐称していたことについて、正木弁護士は「自らの学歴を虚偽の内容で公表し、それが有権者の判断を誤らせるような形で広く報道された場合、公職選挙法第235条第1項「虚偽事項の公表罪」が問題になります」と説明した。
その上で、対象が「当選を得または得しめる目的をもって、選挙に関し、候補者その他の者について、虚偽の事項を公にした者」であることから、「罪が成立するためには、『当選目的で』『虚偽の学歴を』『意図的に公表した』ことが必要」と指摘。報道機関など第三者による紹介が主だった場合や、本人が意図的に経歴を広めていなかったと立証される場合は、違法とまでされない可能性もあるとした。
公選法違反が確定した場合は当選人の当選は無効となり、失職することになる、正木弁護士は「有罪でなくとも、道義的責任や市議会の辞職勧告決議などにより、政治的・倫理的な責任を問われ、辞職を求められる事態は避けられない」とも強調した。
卒業証書を所持していない田久保市長が証書らしきものを“チラ見せ”したことには「公務や選挙に関係する場面であれば、有印私文書偽造罪や偽計業務妨害罪などが問題となる余地がある」と、刑法上の問題を指摘。「実際に文書の偽造があったか、故意があったかは、捜査機関による丁寧な事実認定が必要」としつつも、「卒業していないことを知りながら類似の書類を見せたという行為自体は、市民の信頼を著しく損なうものであり、少なくとも政治的・道義的な非難は免れないでしょう」と断じた。
