プロデューサーで演出家の石井ふく子氏（９８）が２日、大阪市内で行われた「石井ふく子　白寿記念公演　かたき同志」（新歌舞伎座、８月３０日～９月２１日）の記者会見に出席した。

　石井氏は会場につえを突いて登場。主演の藤山直美（６６）、高島礼子（６０）らが足元を気遣うなか壇上に上がった。「自宅の廊下でひざをけがしまして。体はぴんぴんしてます。これからもいろんなドラマ、舞台を作っていきたい」と年齢を感じさせない張りのある声を響かせた。

　同作は故橋田寿賀子氏作で、石井氏とのコンビで昭和５３（１９７８）年に初演。今回はキャストを一新してのぞむ。「石井氏は「残念なことに、この席に橋田さんがいらっしゃらないのが非常に寂しい。年中けんかしながら舞台やテレビを作ってきた」と「渡る世間は鬼ばかり」など数々の名作をともに作った盟友の不在を嘆いた。

　その上で石井氏は「橋田さんは心と心がどう通じ合うのかを大事にしていた。それ以外は絶対やっちゃいけないと言われて。橋田さんの言うことを心に持ちながら、心と心のドラマを作っていきたい」と橋田氏の言葉を大切にしていることを話した。

　また、公演中に９９歳の誕生日を迎えることについて「自分で年を取ったという気がしてない。年のことを聞かれると年はとっちゃう」と「とる」を「削除」の意味で考えるようにしていることを明かし、「とっちゃわなきゃ何もできない」と旺盛な創作意欲があることをうかがわせた。