身体障がい者野球描く 映画「4アウト」オーディションが神戸で開催 「ありのまま」で演技挑戦
映画「4アウト~ある障害者野球チームの挑戦~」(26年公開、協力・デイリースポーツ、神戸新聞)の身体障がい者キャストオーディションが29日、神戸市内の神戸新聞本社で行われた。
原作はノンフィクション作家の平山穰氏の同名小説で、身体障がい者野球チーム「東京ブルーサンダース」に関する実話を基にした物語。オーディションでは稲垣壮洋監督の「できる人が受かるものではない。みなさんの個性が役としてハマるか。ありのままを見せて欲しい」という言葉を受け、30人を超える参加者が現役の俳優を相手にした演技審査や、キャッチボール、バットスイングなどの実技審査に挑んだ。
現在も障がい者野球チーム「京都ビアーフレンズ」に所属し、チェアスキーや車いすハンドボールなどの経験を持つ山本新之介さん(53)は「俳優さんに完璧にお相手していただけて、演技ってこんなに楽しいんだって感じました」と笑顔。交通事故で大けがを負い、左足は膝上から切断、右膝もほとんど動かない中で「車いす選手」としてのプレーを目指す。
障がい者野球は1993年に日本身体障害者野球連盟が発足。誰もが野球を楽しめるよう、下肢障がいを持つ走塁困難者のための打者代走や、盗塁、バントの禁止、補助具の使用や用具の改造を認めるなど独自ルールを設けた。かつて同連盟の特別理事を務めた元プロ野球・中日、阪神、楽天監督の星野仙一さんも同作の映画化を目指していたという。
オーディションを見守った稲垣監督は「障がい者野球です、という見せ方は絶対にしたくない」と力を込める。「野球のエンタメを作ろうとしているんです。野球をやっている人がよく見たら障がいを持っている、というだけ」と、こだわりを語った。
今秋スタートする撮影へ向け「僕たちは油断すると、障がい者というものに重きを置いて、かわいそうじゃないか、とか、こういうものだ、と思い込んでしまう」と自身を戒めた稲垣監督。「いかに先入観なく描けるのか、それが自分に突きつけられている宿題だと思う」と、熱い思いを口にした。
