團十郎、女形にボヤキ「縛られたソーセージみたいな」 ビジュには自信も「そこら辺の人とそんなに変わらない感じにできあがってるのではないか」

 歌舞伎俳優の市川團十郎(47)が9日、東京・渋谷で開かれた東京・歌舞伎座「七月大歌舞伎」(5~26日)の取材会に出席した。

 昼の部では成田屋(市川團十郎家)のお家芸「新歌舞伎十八番」のうち「大森彦八」「船弁慶」「高時」「紅葉狩」を、明治時代に新歌舞伎十八番が制定されて以来、史上初めて一挙上演。團十郎は「船弁慶」と「紅葉狩」に出演する。2007年以来18年ぶりに出演する「船弁慶」では静御前/新中納言平知盛の霊を、2006年以来19年ぶりに出演する「紅葉狩」では更科姫実は戸隠山の鬼女を勤める。

 史上初の試みについて、今年が松竹130周年で3月の「仮名手本忠臣蔵」を皮切りに三大狂言の通し上演が行われること、5、6月と八代目菊五郎の襲名披露興行が歌舞伎座で行われたことなどから「私も新しいことやるよりも古典をしっかりやっている方が、歌舞伎のお客さまにとってはいいのかな。なかなかかからない演目も多いので、新歌舞伎十八番を並べるということは團十郎としての仕事として意義がある」と説明。

 「船弁慶」について「義経と静御前との、永遠の別れになるかもしれない意味で、思い出などが詰まった悲しみの中で表現する舞踊。知盛はかたきですから、恋と憎しみが入り交じった(存在である)義経を軸として(物語が)繰り広げられるんですけれども、勝者のいない世界ですね。全員が敗者的要素がある伝統文化を楽しんでいただければと思います」。

 「紅葉狩」について「鬼が妖艶な女性に化けて、女の中に鬼がいるので、それを徐々に表現していくところに面白いところがある。特に更科姫が鬼女に変わって行くディテールが非常に面白い」と、それぞれ見どころを語った。

 團十郎は前回勤めたことを振り返り、「船弁慶」は「若い頃はそんな疑問もなく教わった通りやっていたんですけど、(今は)自分が理解して納得して体現して踊りの振りに落とし込むという、昔よりかはずいぶんと時間がかかる作業をしだしている」、「紅葉狩」も「これは面白いという、そこをどういうふうに煮詰めるか、『船弁慶』とは違う工夫の仕方が面白い演目だと思っていて」と述べ、20年近い時間での成熟を感じさせた。

 また、四役のビジュアルを撮影してみたことで「ふだん女役をやらないですから、女の衣装を着ると、自分で言うのは変ですけどかなり厳しい」とぼやく一方で「ビジュ的にはそこら辺の人とそんなに変わらない感じにできあがってるのではないかと思うので、まあまあかわいらしくやろうかな」と、高めの自己採点も出した。

 立役の帯は「腰から腹の下の丹田辺り」で締めるのに対し、女形は胸下で締めるため、「私の場合、男性骨格なんで大変なんです。どちらかといえば逆三角形なので、縛られたソーセージみたいな。上がきつい。ちゃんとやってますけど、個人的には苦しいしか出てこない」と笑わせつつ、「大丈夫です。稽古するので」と明言していた。

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