昨年１０月に８８歳で死去した漫画家・楳図かずおさんのお別れの会「楳図かずお　サバラ！お別れの会」が２８日、楳図さんが長年在住した東京・吉祥寺で開かれ、親交のあったタレントの中川翔子や漫画家の里中満智子氏、伊藤潤二氏、高橋のぼる氏ら約２００人が出席した。

　開式前の取材で中川は、「翔子」の名前を、楳図さんの代表作「漂流教室」の主人公・翔から取ったと明かし、楳図作品を「さまざまな感情をイマジネーションさせてくれる、本当に宇宙の中での特異点だった」と指摘。「お会いできた時はいつも笑顔の印象で、先生からいただいた『またね』の言葉をいつも胸に生きて来ました」、「デートをしようという企画があったんですけど、『翔子ちゃん、グワシ投げしようよ』とナゾの遊びを提案してくださって、すごい楽しかった。先生自体はグワシができなかった」などと思い出を振り返った。

　自身は第１子妊娠を発表したばかりで、この日はウエスト周りに余裕がある服にカカトの低い靴で出席。「母が楳図先生の漫画をたくさん集めていたので、電気が切れた廊下の中でこっそり楳図先生の怖い漫画を読んで、幼少期に本当に重要なイマジネーション、脳みそを育ててくれた時間だと思っていて。いろんな要素が先生の漫画で育っているので、もちろん子供時代にそういう怖い、ワクワク、面白い、美しいに触れることが一番大事だと思うので、もちろんいつか読ませたいなという気持ちでいますし、世界中の子供たちに怖い思いをしてほしいですね。イマジネーションのためにとても素晴らしいことだと思います」と、生まれてくるわが子にも楳図作品を読ませたいと熱く語った。

　弔辞では「私の人生は先生の作品とともに育ち、人生の節目にいつも、先生の物語の中に立っていました。初めて先生にお会いした日、とても優しくしてくださって、帰り際に『またね！』と言ってくれた、その一言が、今までの私を何度も救ってくれました。あの言葉があったから、今日まで何度も立ち上がり、生きてくることができました」と感謝。「私たちファンは先生が残してくださった宝物のような作品と魂をこれからもずっとずっと語り継いでいきます。地球が回り続ける限り、次の世代へと愛を叫び続けます」と約束し、「心からの感謝と無限のリスペクトを込めて、グワシ！サバラ！そして、またね！」と締めくくった。

　お別れの会の祭壇は、幅７・２メートル、奥行き２・４メートル、高さ４メートルで２段の台形デザイン。コチョウラン、バラ、アルストロメリア、ガーベラ、ヒペリカム、カーネーション、スプレーカーネーション、スプレーマム、レモンリーフといった約７０００本の花々が、楳図さんのトレードマークである赤白ボーダーをイメージして飾られた。「グワシ！」ポーズの遺影は、吉祥寺の自宅マンションで取材中に撮影されたもの。

　吉祥寺のＵＭＥＺＺ　ＨＯＵＳＥに飾られているまことちゃんやタマミ、チキンジョージ、クリスマスツリーや、愛用のデスクとイス、普段着、ステージ衣装、ボーダー衣服のコレクション、作曲に使用したキーボード、多くの著書、年表なども展示された。