【山田美保子のミホコは見ていた!】視聴率より再生回数 変わりゆく連ドラの指標
4月期の連続ドラマが出揃い、各所で評価が取沙汰されている。その中で目立っているのが再生回数。「第〇話が〇日~〇日の間で〇〇万回再生された」というものだ。
同時にビデオリサーチ調べの世帯や個人視聴率が記されているケースもある。が、人気ドラマは20%超え、古くは30%超えだと刷り込まれている視聴者は少なくなく、10%が大台となって久しいイマドキの視聴率は、テレビ業界に身を置く筆者にとってもなかなかピンと来ないのが現状だ。
因って最近は人気の尺度を再生回数のみで記すことも増えているのだ。
この文脈で浮かぶのは「王様のブランチ」(TBS系)の「つぶやかれた番組ランキング」である。かつては1週間に放送された同局の番組の視聴率ベストテンだったのだが、1位はほぼ毎週、「サンデーモーニング」。F1層(20~34歳の女性)のタレントで埋め尽くされたスタジオで、その結果についてコメントされることは皆無だった。
だが、X(旧ツイッター)でのポスト数のランキングに変わってからはリアルタイムで視聴するユーザーによる熱き感想やツッコミが集計され、ドラマやバラエティなどが上位に。MC席やヒナ壇も沸くようになった。
Xで“実況”してくれる彼らはテレビ局にとって本当に有難い御客様で、その声は、宣伝部やマーケティング部はもちろん統計。制作スタッフもマメにチェックしている。
さらに、こうしたXのポストはネットニュースに上がることも多く、そのアクセス数にもテレビ局員は注目しているのだ。オンエア後にバズったことを確認してからインターネットやアプリを通して観に来てくれる視聴者が一定数、望めるからだ。
若者の“テレビ離れ”は年々深刻になっていき、いまでは“離れ”という言葉にさえ違和感をもつ。元々テレビを「観ない」とか「持っていない」という若者は決して珍しくなく、“クルマ離れ”“お酒離れ”などと同じで、そもそも最初から興味を示していない=離れたというわけではないのだ。さらに、タイパを重視するイマドキの若者は「観たけれど、つまらなかった」ということをできるだけ避けたいのだという。
果たして、Xでトレンドになったり、ネットニュースでアクセス数が多かったりすることが若者に観てもらうための重要なポイントとなったのだ。もちろん、“見逃し配信”は若者のためだけのものではない。便利なシステムにより年配者の視聴スタイルも変わりつつある。
