にしおかすみこ 48歳、介護生活のリアル 認知症の母支え「何かあってもと決心して仕事に出る」
お笑い芸人のにしおかすみこ(48)が21日、都内で自著「ポンコツ一家」刊行記念イベントに出席。認知症の母、ダウン症の姉、酔っぱらいの父に向き合い、ともに暮らす日常について語った。
爽やかなショートカット姿で登場したにしおか。2007年前後、黒髪ロングにボンデージ姿でムチを手にSM女王キャラで「にしおか~すみこだよ~」というせりふから絶叫していた当時の面影は、そこにはない。
講談社の雑誌「FRaU(フラウ)」のウェブサイトで2021年9月に始まった連載の13回分に5編の書き下ろしを加えた単行本。コロナ禍で仕事が激減して「もともとなかった仕事が、ゼロになって無職に。家族分の生活費をかせがないといけなくなった。書くことは好きだったんです」と筆をとり、にしおかがつづる日常に大きな関心が集まった。
そんな日々は、認知症の母に合わせて毎朝5時に起床。3食分の作り置きをこしらえながらも「温かいものを食べてほしい」と母とともに朝食をとる。決して多くはない仕事へと家を出る際には「良くはないけど」と前置きした上で「母の人生なので、あれをしたらダメ、これをしたらダメとは言いたくなくて。ケガをしたり、(最悪の場合)亡くなったとしてもそれは母の人生。決心して仕事に出てます」と振り返る。
家族の日常をさらけ出すことには葛藤もあった。それでも「連載を始めるにあたって散々考えた上で始めた。今更ごめんねといっても、私も家族も誰もが幸せにならない。決してこっち(連載)先行ではなく、家族が優先です」と前向きな気持ちで筆を走らせる。
書籍の売り上げは「母がどうしてもダメな時に入りたいという施設があって。頭金300万で、月15万くらいで今は払えない。(姉と父を含めると)どうしても3人いるので、施設の選択肢となれるように貯金したい」。そして「この本でたくさんの人に笑って、疲れている人の癒やしになれば」と話した。