秋川雅史「これからも大切に」 「千の風になって」翻訳作曲、新井満さん逝く 75歳

 自宅敷地内でインタビューに答える新井満さん=2013年8月、北海道七飯町
 秋川雅史
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 大ヒットした「千の風になって」の翻訳と作曲で知られ、1988年に「尋ね人の時間」で芥川賞受賞した作家の新井満(あらい・まん=本名みつる)さんが3日午前8時46分、誤嚥(ごえん)性肺炎のため北海道函館市内の病院で死去した。75歳。新潟市出身。葬儀・告別式は近親者で行う。喪主は妻紀子(のりこ)さん。「千の風になって」のカバーで人気に火を付け、06年のNHK紅白歌合戦に出場したテノール歌手の秋川雅史(54)が所属事務所を通じて追悼コメントを寄せた。

 子供から大人までに歌い継がれる名曲を生み出し、千の風のようにこの世を去った。

 関係者らによると、新井さんは今年、東京五輪関連のアイヌ文化発信イベントを手伝っていたが、それ以降体調を崩したという。それまで特に持病はなかったそうで「急な話で驚いています」と語った。

 新井さんは2000年頃に北海道七飯町にある大沼に別荘を建て、この地で「千の風になって」を生み出した。大沼国定公園内には「千の風モニュメント」が作られており、近年は同地で、妻やヤギと一緒に暮らしていたという。

 新井さんは上智大卒業後、電通に勤務する傍ら、87年に「ヴェクサシオン」で野間文芸新人賞、88年に「尋ね人の時間」で芥川賞を受賞。98年の長野冬季五輪では、開閉会式の構成を担当するイメージ監督を務めた。

 米国に伝わる作者不詳の詩を翻訳、作曲し、自身でも歌った「千の風になって」は「私のお墓の前で泣かないでください」という詞が話題に。秋川がカバーし、06年のNHK紅白歌合戦で歌って人気に火が付き、ミリオンセラーになった。翌07年には日本レコード大賞作曲賞に輝いた。

 秋川は訃報に接し、「昨年、コロナ禍で表現の場を失った私を気遣ってお電話をくださった新井満さん。突然の訃報をお聞きし、茫然としています」と悲痛な思いを語った。

 初対面した時に新井さんから「『千の風になって』という曲は人が亡くなるという現実がある限り、永遠に必要とされるんだよ」と声をかけられたと明かし、歌手として「私はこの言葉をいつも胸に秘め、微力ながら大切に歌わせて頂いてきました」と一回一回のステージを振り返った。

 千の風になった恩師へ「新井さんが紡いだこの詩のように、今は風になり、大きな空を吹きわたって私たちを見守ってくれていると信じています。そして新井さんが遺された詩と曲を、これからも大切に歌い継いでいきます」と約束した。

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