結成24年でメジャーデビューのBARAKA、海外からはオファー殺到(後編)

 1997年に結成されたプログレッシブ・ロック・トリオ「BARAKA」が今年、メジャーデビューアルバム「MAVERICK」をユニバーサルからリリースした。苦節24年、ついにメジャーデビューを果たしたバンドから、ベース、ボーカル、ペダルシンセサイザー担当の依知川伸一(60)が来し方行く末を語るインタビュー、その後編はバンドの歴史について。

  ◇  ◇

 結成のきっかけは、3月に急逝した大物ドラマー、村上“ポンタ”秀一さんだ。ポンタさんが「すんげえ面白いギター見つけたから一緒にバンドやるぞ!」と依知川に紹介したのがギター、ギターシンセサイザーの高見一生(56)だった。

 「確かにすごいギタリストで、これは面白いものができるぞ」と思った依知川は「学生時代からずっと一緒」のドラムス・平石正樹(58)を誘ってスタジオに入ったところ、「最初の演奏から展望がすごく見えた」ため、「世界で活動するバンド」を目標に立てて活動開始。仏レーベルからのリリースが始まると共に「ヨーロッパとか世界で活動していく」ため、インストがメインになった。

 「ヨーロッパとかアメリカってインストのシーンもしっかりあって、チャートもいくつもあって、それぞれ独立してマーケットがある。それを毎年行ってると感じまして」

 「もし海外に出てなかったら、これだけ続けられていたかどうか分からない」と言うように、海外からは引っ張りだこだ。イタリア、スペイン、ドイツ、ベルギー、オーストリア、ハンガリー、チェコ、リトアニア、米国、カナダ、インドネシア、韓国、タイなどをフェスやツアーで訪れ、今年も仏領ギアナで新しく立ち上がるフェスからオファーが来ているという。

 2000年にロンドンに行ったのが最初で、続けてフランスのフェス関係者に音を聴かせたところ、招へいされた。フェスには世界各国からさまざまなバンドが集まっており、「彼らが自国に帰って、このフェスがあるからって誘ってもらったり、世界中のバンドの友達がたくさん増えていったんで、少しずつ名前が広まっていって色んなフェスから声を掛けてもらえるように」なったという。

 「僕たちは20分とか30分の曲があるわけで、日本だったら初めて聴く人にはなんだこれ?って顔されることが多いけど、ヨーロッパっておじいちゃんおばあちゃんとか子供が最初に並んでいて最後まで見て、TシャツとCD買って帰ってくれて。すごいな、音楽に対する耐性、血に入ってるものが違うのかなって感じました」

 18、19年には米国からメキシコをクルーズする豪華客船で開催されるプログレフェス「クルーズ・トゥ・ジ・エッジ」に出演。ヘッドライナーを務めた大物バンドであるイエスやフォーカスが、BARAKAのライブを訪れたという。

 「イエスとかフォーカスのメンバーが見に来てくれている、その絵がね…。普通に『良かったよ』っていう話ができて、やって来たことに間違いはなかったんだなって。同じ舞台でできることになったのは、長年きちんと続けてきて良かったなと思いました」

 そんな海外での評価とは裏腹に、国内では知る人ぞ知る存在だけに、国内メジャーデビューは知名度を上げる好機だ。「ちゃんとしたもの、はやり廃りもないものをしっかりと作っている自信もありますし、あとは僕たちという存在を知ってもらうことが一番の課題」と自覚している。

 「シーンがある種(Jポップという)1つしかない日本でやっていくことの難しさを痛感しながら、でも自分たちの音楽を信じているので。フランスとかスペインでやって、お客さんが喜んでくれるのを身をもって体験していますので、バンドの音を知ってほしい。ホントに勝負できるバンドで今はできてるなって感じがするので、今までの悔しい気持ちを持ちつつ、やり切るぞっていう思いでやっています」

 4月で還暦を迎えた依知川、そしてBARAKAは、静かに燃えている。(終わり)

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