黒澤映画幻の舞台「醉(よ)いどれ天使」73年ぶりに復活、三船プロの倉庫から台本発見で

 撮影時の黒澤監督(左)と三船さん=提供:三船プロダクション
 「醉いどれ天使」撮影時の(左から)三船敏郎さん、志村喬さん、黒澤明監督=提供:三船プロダクション
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 世界的巨匠の黒澤明さんが監督した映画「醉(よ)いどれ天使」の幻の舞台作品が、73年ぶりに復活することが16日、分かった。三船敏郎さんが演じた闇市の顔役・松永を桐谷健太(41)が務め、9月3~20日に東京・明治座、10月1~11日に大阪・新歌舞伎座で上演される。公開の半年後に上演されたが、当時の資料がほとんど残存しておらず、長らく詳細不明だった舞台版。三船プロダクションの倉庫から偶然、当時の台本が発掘され再舞台化が進行。令和に奇跡の復活を遂げる。   

 肺病に冒されながら、裏社会の渦に巻き込まれていく戦後闇市の顔役・松永(三船さん)と飲んだくれの町医者・真田(志村喬さん)の姿を描き、名作の誉れ高い「醉いどれ天使」。映画は1948年4月に公開されたが、半年後、大規模な労働運動が発生し、俳優、スタッフらは仕事を奪われてしまう。

 窮状に陥った俳優らを憂えた黒澤監督は劇団を結成し、映画とほぼ同じメンバーで作品を舞台化。少なくとも2都市で上演された記録はあるが、チラシなど限られた資料しか現存しておらず、幻の作品とされていた。

 18年に公開された、三船さんのドキュメンタリー映画のため、三船プロダクションの倉庫を改め直したところ、当時の舞台台本が発見され、復活プロジェクトが始動。令和版として演出・三池崇史氏(60)、脚本・蓬莱竜太氏(45)のコンビがよみがえらせることになった。

 映画撮影時には、野獣のような三船さんの圧倒的熱量に魅了された黒澤監督が、出番を増やすよう変更した逸話も残り、今作から2人の黄金コンビは誕生した。伝説的熱演を引き継ぐ桐谷は「東京に出てきて間もない頃、ひとりのおっちゃんに『お前の眼光は往年の三船敏郎みたいやな』と言われ、ちょっぴりうれしく想ったことを覚えています」と“三船級眼力”に自信。エネルギーを必要とする役だけに「無事に生きて帰れるか分からないですが、全力で入り込んでいきます」と覚悟を決めている。

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