大島渚賞 第2回で早くも該当者なし

 「映画の未来を拓き、世界へ羽ばたこうとする、若くて新しい才能」に贈られる「第2回大島渚賞」が、2年目にして早くも「該当者なし」となったことが25日、分かった。

 大島監督の「戦場のメリークリスマス」(1983年)にメインキャストとして出演し、「戦メリ」と「御法度」(99年)では音楽も担当した音楽家で、審査員長の坂本龍一は次の通りコメントしている。

 「もし大島渚賞などという形で大島渚が権威になるのだったら、それこそ大島渚が最も嫌ったことだろう。だから大島渚に迎合するのは絶対にだめなのだ。そうではなく大島渚を挑発し、批判し、越えていくことこそ最も大島渚賞にふさわしいと言えるのだ。そのような映画にわたしたちは出会いたい。」

 また、昨年、「スパイの妻」でヴェネツィア国際映画祭監督賞を受賞した審査員の黒沢清監督は次の通りコメントしている。

 「『いろいろあったけど、よかったよかった』となる映画が多すぎる。本当にいろいろあったなら、人は取り返しのつかない深手を負い、社会は急いでそれをあってはならないものとして葬り去ろうとするだろう。人と社会の間に一瞬走った亀裂を、絶対に後戻りさせてはならない。あなたがささやかに打ち込んだクサビは、案外強力なのだ。よかったよかったと辻褄を合わせる必要なんかどこにもない。『たかが映画だろう』と周りは言うかもしれない。しかし映画とはなんだ?ぼんやりとみなが想像するものだけが映画ではない。表現の極北から見出される鋭い刃物のようなクサビで、人と社会を永遠に分断させよう。これら二つが美しく共存するというのはまったくの欺瞞だ。このような映画製作に挑む若者を探している。それは大島渚が切り開いた道であり、決して閉ざしてはならないと思うから。」

 大島渚賞の選考対象は、日本で活躍する映画監督(劇場公開作3本程度)で、原則として前年に発表された作品がある監督。第1回は「鉱 ARAGANE」、「あの優しさへ」、「セノーテ」の小田香監督が選ばれた。

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