柳美里さん 全米図書賞「喜び分かち合いたい」
米国で最も権威のある文学賞の一つ、全米図書賞が18日夜(日本時間19日朝)、オンラインで発表され、翻訳文学部門で福島県南相馬市在住の芥川賞作家、柳美里さん(52)の「JR上野駅公園口」が選ばれた。2018年に同部門で受賞したドイツ在住の芥川賞作家、多和田葉子さん(60)に続く快挙。
柳さんはオンライン授賞式で「東日本大震災と津波、原発事故の後、苦難の途上にいる南相馬の人々とこの喜びを分かち合いたい。この賞はあなた方のためのものだ」と語った。同作は64年の東京五輪の前年、家族を養うため福島から東京に出稼ぎに来た男性の生涯を描いた物語。全米図書賞のHPでは「日本の近代化で多数の人が社会の片隅に追いやられ、無視されてきたことを読者は知ることになる」と紹介された。