「カメラを止めるな!」俳優陣がブーム始まりの地で舞台挨拶を続ける理由

 昨年11月のイベント上映に始まり、今年6月23日の都内2館での公開、そして予定のものも含め8月20日時点で190館を超える全国上映にまで人気が広がった映画「カメラを止めるな!」。その中にあって、最初に商業公開された2館、東京・新宿のK’s cinemaと東京・池袋のシネマロサで出演者は可能な限りの舞台挨拶を続けている。その思いを今月17日、山ノ内洋(カメラ助手)役の市原洋と、音楽を担当した鈴木伸宏に聞いた。

 -キャストの誰かが舞台挨拶に来ていますね。

 市原「基本的には、必ず誰かを置くという決まりではなかったんですけど、メンバーで時間の空いている人とか、行けそうな人とか自主的に来てやる、という形になっていまして。上演回数が増えたので毎回、誰かしらいるというのではないみたいなんですけども。1日のうちどこかでは誰かが行っている感じです。劇場は池袋シネマロサさんとK’s cinemaさんのどっちかであることが多いですね」

 -その2館から広がっていった。

 市原「作品自体も上田監督をはじめ、キャストやスタッフが一生懸命やって、いいものができたという気持ちと、口コミやSNSとかの力が大きかったかなと思います。自分でも聞いたことのない、ここまで広がるのかという風になりましたね。また、著名人の方とかも見ていてだいて、SNSで発信されたというのも大きかったかなと思います」

-皆さんの環境に変化は。

 鈴木「僕は主題歌とタイトルが流れるところの音楽を担当したんですけど。見て、声をかけられたりとかという機会はすごい増えているので。環境的には広がっていることで、自分たちの名前も広がっていっている感じはしていますね」

 市原「上田慎一郎監督はメディア出演が多い。で、主演クラスの役者さんとかも『こういうの出ます』というのはよく見たりするので、この作品からの注目と、オファーみたいなのが増えているのかなと思いますね。僕の方にも来てほしいなと思ってるんですけどね(笑)。頑張って呼んでいただけるように作品だけでなくアピールしていきたいと思っております」

 -実際見ると制作費が300万円とは信じられない。

 市原「この例えがあっているか分からないですけど…。野球のトライアウトみたいなことをした後に夏合宿をやってから作ったりすると思うんですけど、練習期間を設けて、こいつはこれがうまいなとかいうのを試して、この作品をつくるためのラインナップを当てはめていく感じだったのかなと思います」

 鈴木「もともと僕は上田監督と幼稚園からの幼なじみだったんですね。ちょいちょい仕事で一緒になることがあったり。ロゴとか美術をやっているのが上田監督の奥さん(ふくだみゆき氏)だったり。今まで積み重ねてできたものを全部ここで使ったイメージが、(監督と)話していてもあるので。ある程度お金じゃなくて、集まっている。信頼関係とかそういうので集まって全員でいい作品をつくろうと思ってやった作品だと中に居る人間としては感じますね。それは役者の方も一緒だと思いますけども」

 -今後考える次のステップは。

 市原「『カメラを止めるな!』で好きになっていただいて、声をかけていただいてすごくうれしいんですけど、『カメラを止めるな!』なしでも自分の作品を見てもらえるかどうか。『カメ止め』じゃない自分のお芝居を見てもらいたいと思うので、この時期に交流、関わって、次の作品も見てもらえたらいいなと思います」

 -挨拶を続ける理由は特別なものがあるんですか。

 市原「やっぱり、作品自体がワークショップで十何人使っていますけど、上田監督自身が『みんなの代表作だと言ってもらえるような作品を作りたい』と言っていまして。もちろん出演時間とかは全員一緒ではないんですけど、キャラクターに見せ場があるので、演じた側とかもそういうのを言ってくれてうれしいなという気持ちもあるので。こういう場になるべく出て御挨拶したいと。絶対、こういう風にしましょうというより、自然発生的にこうなったので。それが『カメラを止めるな!』なのかなという気がしますね」

 -連絡はどう取り合っているんですか。

 市原「グループLINEとかで『今日、誰かが行ける人、いますか?』というのもありますし、なくても自分が行けるという人がぽんっと(来たりします)」

 -ファンにメッセージをお願いします。

 鈴木「僕は(撮影の)後から(チームに)入っていったんですけど。すごいチームワークで。もともと舞台挨拶の前に、チラシ配りとか、キャストが何百店舗か分からないぐらい、あちこち回っていて。グループLINEでも、その経過だけは僕も見ていて。ニュースとかですごい低予算でみたいなことは書いてあるんですけど、お金には代えられないみんなの思いが集まっているからできることだなと。報われてほしいという言い方はおかしいですけど、もう報われはじめているので。役者の方の今後につながるようになれば、監督の気持ち的にも本望なのかなと。僕も幼なじみなんで(監督と)話したりするんですけど、キャストの(他の)仕事が決まると結構、喜んでいるので。そういう気持ちで頑張ってください」

 市原「…頑張ります。もともと演技レッスンっていうワークショップに通っていまして、講師を担当されていたのが上田監督で。別の機会で4カ月ぐらいお世話になっていたことがあって、映画をとるかもしれないという話があったんですけど、結果的に撮れなかったことがあった。でもずっと出たいなと思った時にこの企画(「カメラを止めるな!」)があったので。出られて本当、良かったなと思いますね。(上田監督は)短編映画はたくさん撮っていて、映画祭の賞とかも取っていて、いい感じでステップアップされていた。次は渾身の長編映画を撮ると言っていたので。正直、僕なんかが出られる映画作品じゃないと思っていたんですよ。たまたまENBUゼミナール(今作を企画、制作した専門学校)に来て、これは本当キャリアとか関係なく応募ができるものだったので、これ受けるしかないと思って出ましたね。作品とか、大きくなったりとか、ワークショップとかやってて自分でうまくいかなかったりとかたまにあった時に、振り返った時に、この作品に出たいと思って応募して出られて良かったなという感謝っていう気持ちが大きいです」

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