歌丸さん さようなら 告別式に2500人 吉右衛門涙「勝ち逃げはずるいよ…」

 2日に慢性閉塞(へいそく)性肺疾患のため81歳で死去した落語家の桂歌丸(本名・椎名巌=しいな・いわお)さんの告別式が11日、横浜市の妙蓮寺で行われた。師匠の桂米丸(93)、落語協会会長の柳亭市馬(56)、「笑点」の同僚・林家木久扇(80)が弔辞を読み、友人代表として歌舞伎俳優・中村吉右衛門(74)があいさつ。関係者1000人、ファン1500人の計2500人が参列し、長きにわたり大衆に愛された大落語家との最後の別れを惜しんだ。

 芸道に精進し、誰からも愛された落語家だった。その旅立ちに際し、組織やジャンルの枠を超えて多くの人が集い、今生の別れを告げた。

 2人目の師匠として「歌丸」の名を授けた桂米丸は、「あなたは非常に真面目で、頑固な方だった。『笑点』での人気におごらず、『勉強しよう、他人と同じことやってちゃダメなんだ』という意欲を持って、大成なさった」と、芸に対する真摯(しんし)な姿勢を絶賛。その上で「サイドがあなたをカバーしていた。何といっても、おかみさんの冨士子さんですよ!」と、冨士子夫人との二人三脚の人生をたたえた。

 吉右衛門は、あいさつの途中で「どうも年を取ると、涙腺が緩くなりまして…」と、こらえきれず涙。歌丸さん夫妻のなれそめに触れ、「女性にそこまで腹をくくらせる師匠の人間性のすばらしさに感服しました」と、こちらも冨士子夫人との絆に触れ、「奥さまが見抜いた通り、やるべきべきことを全てやり尽くして旅立たれました。一人勝ちみたいなものです。だから、師匠にこう申し上げたい。『勝ち逃げはずるいよ』と…」と言葉を絞り出した。

 歌丸さんと50年以上にわたって添い遂げた冨士子夫人は、この日も喪主として気丈に振るまい、弔問客一人一人にお礼を言って頭を下げた。関係者によると、精神的にも肉体的にも限界の状態だが、式の途中で退席するよう勧められながらも、妻としての役目を気力だけで果たしたという。

 「笑点」の大喜利では「恐妻家」ネタを度々用いていた歌丸さん。だが夫婦仲は極めて良好だった。心身ともに歌丸さんに捧げた冨士子さんは、「皆さま、お暑い中、大勢お集まりいただきまして、ありがとうございました」とだけコメントを発表。ついに訪れた最愛の夫との別れを、静かにかみしめていた。

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