歌姫・城南海 「西郷どん」ソング秘話を明かす「愛加那さんになりきって…」

「西郷どん」の劇中歌を手がけた城南海=大阪市内
「西郷どん」の劇中歌を手がけた城南海=大阪市内
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 奄美大島出身の歌姫・城南海(きずき・みなみ=28)が、放送中のNHK大河ドラマ「西郷どん」(総合、日曜、後8・00ほか)で、ドラマの最後に放送される大河紀行「西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~」の同名楽曲と、ドラマ本編の挿入歌「愛加那」「愛、奏でて」(『愛加那』の三味線弾き語りバージョン)を歌っている。

 「いま島に帰ったりすると、『流れてるね』って島のみんなも親たちも喜んでくれていて、良かったなと思いました」という城に、故郷・奄美と、大河の歌への思いを聞いた。

  ◇  ◇

 楽曲はいずれも城が島の言葉で作詞し、奄美大島、徳之島、沖永良部島に流される西郷隆盛(鈴木亮平)と結ばれて2人の子供をもうける奄美大島の女性・愛加那(二階堂ふみ)の、西郷への思いが歌われている。

 「放送前に書いていたので脚本とかも読めなかったんですけど、原作を読んだり、奄美の方に西郷さんとか愛加那さんのことを教えてもらったり、西郷さんたちが暮らしていた奄美の集落の言葉を教えてもらったりして、想像をふくらませながら書いていきました。

 (依頼が)愛加那さんになりきって歌ってください、だったので、愛加那さんの気持ちを書かせてもらって。1曲目(『西郷どん紀行』)は力強く美しい女性であり、西郷さんを見守って見送るっていう曲で、もう1曲の方(『愛加那』)は離れて切なくなっている愛加那さんが西郷さんをずっと思っている。テイストは違いますけど、どちらも愛加那さんの思いを歌うっていうところを心掛けていました」

 曲名は“そのまんま”。ラブソングとしてはかなり大胆だ。

 「仮タイトルはあったんですけど、紀行ってことでこのタイトルになったみたいですね。もともと(歌なしの)オケで演奏されてるからたぶんその(仮)タイトルだったんですけど、紀行は紀行で位置づけられるみたいですね。私も最初ビックリしました。ぜひこれで覚えてください」

 2009年に発表された城のファーストアルバムも、タイトルが「加那-イトシキヒトヨ-」だった。

 「奄美では加那ってすごく親しみのある言葉で。『西郷どん』の中でも女性に、なんとかさんの“さん”の立ち位置で付ける言葉なんですね。愛加那さん以外にも加那って名前の人がいたりして。『行きゅんにゃ加那』っていう奄美の歌があるんですけど、『行ってしまうんですか、愛しい人よ』っていう別れの歌で。愛しい人のことも加那とも言ったりするんですね。私もその言葉がずっと好きで、ファーストアルバムのタイトルにしていたのもあるんですけど、『愛加那』っていう曲を歌わせてもらって、つながったなって」

 ドラマでは沖縄出身の二階堂ふみが愛加那を演じている。

 「愛加那さんってこういう人だったんだろうなっていう姿がすごく思い浮かぶような。西郷さんへの愛も本当にすごく感じるし。私たちも奄美に住んでいても愛加那さんのことってあまり知らないんですけど、二階堂さんの姿を通して知ることができたような感じがしますね」

 西郷は愛加那と別れて島から出ていくことが、歴史的事実として決まっているだけに、複雑な心境もある。

 「島の人からしたら、薩摩の人って当時はあまり好きになる対象ではないと思うんですよ。だけど、西郷さんの人柄で、色んなことをして島の人を助けてあげたりとか、慕われるようになっていったんですよね。それは西郷さんの人柄とか優しさとか正義感とかいろいろあると思うんですけど、そういう時代なのに、そうやって島の人の接し方が変わっていったのってすごいなと思って。そういう方が薩摩を引っ張っていくんだろうなって島の人も感じていただろうし。

 帰って行くのはしょうがないことではあるんでしょうけど、奥さんと子供を置いてっていうのも、女性の私としては心苦しいところもありますね」

 「愛加那」では日本を代表するジャズピアニストの山下洋輔と初共演した。レコーディングは歌とピアノのセッションだったという。ちなみに、山下のルーツも鹿児島だ。

 「『初めまして』でちょっとごあいさつしてからすぐ本番でスタートしたので、お互いどういうふうにアプローチしていくかとかも、打ち合わせもせずに始まったので、その場で感じ合いながら、感じ取りながら自分のエッセンスを出していくっていう。すごく楽しくて刺激的で、いい意味の緊張感もすごくありましたし、本当にこのワンテイクしか取れないというような、そういうものが刻まれたかなって感じですね。1回しか演奏してないんですよ、この曲。本当に夢のような時間でもありました」

 これらの楽曲を収録した、城にとっては12枚目のシングルとなる「西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~」が20日にリリースされ、30日にはツアー「ウタアシビ2018夏」が開幕する。

 「(『西郷どん紀行』『愛加那』も)もちろん歌います。新曲としてはこの2曲と、会場限定盤でミュージッククリップ集(『城 南海 Music Clip Collection』)を出すんですけど、その中に私が書き下ろした新曲(『ひとつになれたなら』)があって。その3曲と、来年の1月で10周年を迎えるので、それに向けてデビューの頃の曲だったり、奄美の民謡をアレンジしたりとか、みんなで夏らしく楽しく歌遊びができるような、そんなコンサートにしたいなと思っています」

 【ウタアシビ2018夏】

 ◇6月30日 名古屋・ダイアモンドホール

 ◇7月1日 大阪・なんばHatch

 ◇7月7、8日 東京・恵比寿ザ・ガーデンホール

 ◇7月16日 鹿児島・CAPARVOホール

 ◇7月21日 横浜・ランドマークホール

 【俺らだけのヒットパレード2018】

 ◇10月26日・神戸国際会館こくさいホール※南佳孝、沢田知可子、押尾コータロー、もんたよしのりらと出演

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