渡辺謙 「西郷どん」鈴木亮平へ金言残して斉彬去る「大河に学べ」

 俳優・渡辺謙(58)がNHK大河ドラマ「西郷どん」(総合、日曜 後8・00)で演じる、薩摩藩主・島津斉彬が22日放送分で“最期”を迎える。ハリウッドにブロードウェイと世界をまたに掛ける国際派にとって、17年ぶり5作目の大河出演。若かりしころに「基礎中の基礎をすべてたたき込まれた」という、国民的ドラマ枠へのがい旋を総括した。

 世界的名優の座を揺るぎないものにした今でも、大河ドラマの撮影では背筋が伸びる。「ほかのドラマとはひとつ違うんだというプライドというか、作る中の気概を僕も持ってNHKに入ります。スタッフ、俳優にも気概を感じますし、この伝統は失わないでほしい」。2001年の「北条時宗」以来、17年ぶりの出演となったが、胸に刻む思いは変わらない。

 27歳のときに「独眼竜政宗」で主役に抜てきされ、スターダムにのし上がった。「歩き方、立ち振る舞い、鎧の着方、刀をどう差すか…ありとあらゆることのベースを教えていただいた」。渡辺にとっては、演技の礎(いしずえ)を築いてくれたのが大河だ。「ここまで時間かけて、実践の中で教わることはない。出演者にとって自分が世に出るチャンスではなく、学ぶチャンス」と才能育成の場として捉える。

 「西郷どん」では、鈴木亮平が演じる西郷吉之助(隆盛)にとって生涯の師となる、藩主・斉彬を好演。1月から始まった物語の前半を、抜群の存在感でけん引してきた。「僕自身がやってて、なかなか面白い人だなと思うのは、まったく知識がなくてもいろいろ作らせていったのは、相当なエネルギー。あの時代で生きてる大名の中でも、目を見張るものがある」と感じ、役と向き合った。

 22日放送の第15回「殿の死」は、斉彬にとってのクライマックスとなる。激動の時代に西郷を残し、この世を去る斉彬さながらに、自身のクランクアップを迎えた渡辺は、鈴木へ“金言”を授けて撮影現場を離れた。

 「微妙な言い方になるけど、いい加減さというか。鈴木にも言ってるんだけど、中盤以降、そういうのが生まれてくるだろうから、焦らなくてもいいよと。そこにあるものだけじゃないものを、感じて演じてほしい」

 来年は人生の節目となる還暦だが、「『渡辺謙って、こういう俳優なんだ』というのは、うれしくない。『えっ、あんなとこ行くの!?』という風にフットワークは軽くいたい」とまだまだアグレッシブに、役者道を開拓する。「よぼよぼで白髪になっても、いつかまた大河ドラマに出たいと思いますよね。思いもかけぬ役で」。6作目の出演でも、“新たな顔”を見せてくれるに違いない。

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