藤井六段、中学生として最後の公式戦で敗れ、悔しさ隠せずガックリ
最年少棋士の藤井聡太六段(15)は28日、大阪市の関西将棋会館で行われた王将戦一次予選で井上慶太九段(54)に137手で敗れた。1月から続く連勝は16で途切れ、中学生として迎える最後の公式戦を白星で飾れなかった。終局後は肩を落とし、悔しさを隠せず。大人たちを次々になぎ倒してきた驚異の神童が、中学生らしさを最後にのぞかせた。
対局は藤井六段の後手番でペースを握ったかに見えたが、相手の巧妙な指し回しに屈した。負けを悟った15歳は、うなだれ、数回うなずいた後、深く頭を下げて投了した。
対局後は肩を落とすなど、ショックを隠せず。職員からマイクを渡されても用いず、爪をいじったり、せわしなく扇子をはじくなど、落ち着かない様子で取材に対応した。敗因を問われ「形勢を損ねてしまい最後まで及ばなかった」と言葉を絞り出した。勝ってもクールな態度を取る神童が、中学生最後の対局に負けたことでかいま見せた“中学生らしさ”だった。
それでも、藤井六段は今年度の「勝率」など主要記録で史上3人目となる4冠を達成。歴代最多となる29連勝や中学生で初めて一般棋戦を制するなど快進撃を続けた。
デビューからの歩みについて「自分が思った以上に活躍できた」と自ら評価した。「これまでに点数をつけるなら」という質問に「今の段階でこれまでの結果に対する評価は早い。評価は控えたいと思います」と冷静さを回復。「本局のように力が足りないのでしっかりやっていきたい」と反省を混ぜつつ、前を向いた。
今年度の対局を終え、年度成績は61勝12敗となった。実質的なデビュー初年度で歴代記録でも最多連勝を達成したほか、「勝数」「勝率」でも4位タイにランクインした。来年度の初戦は4月5日に迎える。