北口榛花「悔しい」大号泣 自国開催けが押して凱旋も予選敗退 6月に右肘負傷、状態戻せず「強くなって帰ってきたい」
「陸上・世界選手権・女子やり投げ予選」(19日、国立競技場)
女子やり投げ予選は、パリ五輪覇者で大会2連覇を狙った北口榛花(27)=JAL=が60メートル38の全体14位となり、12人で争う20日の決勝に進めなかった。上田百寧(ゼンリン)は60メートル49の同13位、武本紗栄(オリコ)は55メートル11の同30位で落選。男子200メートル決勝はノア・ライルズ(米国)が19秒52で4連覇した。男子5000メートルの森凪也(ホンダ)は予選落ちした。
今大会最も注目されたヒロインが、予選で姿を消した。トップバッターだった北口は、3投とも記録を伸ばせずA組8位。取材対応時はB組18人の試技前で、上位12人による決勝進出の可能性は残されていたが、敗退を悟り「たぶん決勝には残れない。悔しい」と大号泣した。
1投目は60メートル31をマーク。「ホッとした」と明かす心境とは裏腹に、表情からは悔しさがにじんでいた。2投目はわずかに伸ばして60メートル38。一発で予選通過が決まる62メートル50を目指して臨んだ最終投は、はるか手前の58メートル80に刺さった。
負傷で崩れたコンディションを戻し切れなかった。6月に利き腕の右肘を負傷し、7月の日本選手権を欠場。2カ月ほど試合に出られない期間を過ごした。復帰戦となった8月のダイヤモンドリーグ第13戦は最下位。続く同ファイナルは60メートル72を記録して復調気配を漂わせるも「自分のやりが、どれだけ前に飛ぶかが想像できずに練習していた」という。痛みこそ引いたが、精神面での不安を払拭することができていなかった。
2021年東京五輪は無観客、昨夏のパリ五輪で頂点に立ち、待ち望んだ自国開催の大舞台。2連覇を逃す結果とはなったが「けがが続いて苦しいところがたくさんあったけど、世界陸上があるから練習に戻ろうという気持ちになれた。すてきなゴールをつくってくれた皆さんに感謝したい。日本人でいっぱいの会場を見られてうれしかった」と充実感もにじませた。
「世界大会の借りは世界大会でしか返せない。ここで決勝に残れなかったからといって、人生は終わりではない」と前を向く北口。来年の愛知・名古屋アジア大会、27年世界選手権、そして28年ロサンゼルス五輪での2連覇と、リベンジの舞台は残っている。「長い休みは必要かもしれないけど、強くなって帰ってきたい」。この悔しさは必ず成長への糧にする。
◆北口榛花(きたぐち・はるか)1998年3月16日、北海道旭川市出身。旭川東高から日大に進学した。五輪は21年東京大会12位、24年パリ大会は日本女子のトラック・フィールド種目で初の金メダルを獲得した。世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)で22年に日本勢初優勝。23年のDLファイナルを初制覇し、24年に日本勢初の2連覇を達成した。世界選手権は22年に日本女子投てき種目で初の銅メダル、23年に日本女子陸上界3人目の金メダルを獲得した。23年9月に出した67メートル38は日本記録。179センチ。




