小兵の人気力士、元照強が体験型飲食店を両国にオープン「世界に相撲を発信したい」
大相撲の元幕内照強で昨年3月に引退した福岡翔輝さん(30)が10日、都内で取材に応じ、11日にオープンする相撲体験型レストラン「SUMOLAND in 両国」への決意を語った。
現役時代は小兵ながら足取りなど思い切った技で土俵を沸かせ、大量の塩をまくことでも人気を集めた。兵庫県南あわじ市で、阪神淡路大震災が発生した1995年1月17日に生まれた。中卒たたき上げで着実に番付を上げる姿から、1月の初場所では毎年、震災関連として大きく取り上げられてきた。
引退後は母が経営するたまねぎ関連の会社を手伝い、格闘家としても活動。その中で「仲間と一緒に、以前からやってみたかった」という相撲体験型レストランの夢が膨らんだ。
転機は今年1月。JR両国駅東口から徒歩3分に衣料販売店だった物件が見つかった。土俵、観覧席、トイレなどを新たに設けた。「14年間お世話になった相撲なので、両国でオープンしたかった。外国の方に来てもらい、世界に相撲を発信したい」と語った。
運営会社の取締役を務めながら、自らまわしを着ける。土俵入り、禁じ手の紹介、餅つき、相撲の稽古、取組等を約2時間の公演で実演。希望者は稽古、餅つき、取組などの体験が可能。在籍した伊勢ケ浜部屋直伝のちゃんこ料理、故郷淡路島の特産品(ワカメの佃煮、明太子、いかなごくぎ煮)の食事を提供する。
同様のレストランとの違いは、出演力士の豪華さだろう。元小結千代大龍の明月院秀政さんが参加。元幕内力士2人が希望者と肌を合わせることになる。ほかに元幕下力士、アマチュア相撲経験者が参加。福岡さんは「もっと力士を増やしたい。引退後の選択肢に考えてもらえれば」と語った。
プレオープンでは伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)、師匠だった宮城野親方(元横綱旭富士)、幕内熱海富士が来店。新たな門出を祝福された。
福岡氏は著名格闘家のもとで練習を重ねる予定で、格闘家としても「RIZINに出たい」と、実業家との二刀流を目指す。妻、5カ月の娘がおり「子どもと嫁のために頑張りたい」と一家の大黒柱の責任を口にした。震災当日に生まれた故郷に対しては「毎年多くの人が思い出す阪神淡路大震災の日。僕も頑張っているよ、と元気を届けられるようになりたいですね」と思いを寄せた。
店内には自身が用いた化粧まわし、師匠の優勝額、歴代横綱の手形などが展示される。インバウンド(訪日客)向けの店構えを作り上げた。「両国を盛り上げて、発展させたい。元力士の強みをどんどん出したい」。力士の誇りを新たな形に昇華させる。