大相撲 蔵前国技館最後の優勝力士、元多賀竜の息子・竜勢が引退「完全燃焼できた」
日本相撲協会は28日、現役を引退した力士10人を発表した。その中には竜勢(38)の名もあった。夏場所13日目に7番相撲を終えた竜勢は「本当に完全燃焼できた」と語った。
最後の相撲は城間(尾上)に下手投げで敗れた。4勝3敗。西幕下49枚目。勝ち越しで有終の美を飾った。
本名は黒谷昇太。蔵前国技館最後の場所を優勝したことで知られる、元関脇多賀竜の鏡山親方を父に持つ。2003年春場所で、父が師匠だった鏡山部屋から初土俵を踏んだ。21年名古屋場所後、部屋が吸収される形で伊勢ノ海部屋に移籍した。24歳だった12年秋場所で幕下に昇進もすぐ三段目に降格。30歳になる前から幕下に定着し、16年名古屋場所で幕下優勝。最高位は東幕下4枚目だった。
竜勢は「体がしんどくなって、食べることも疲れる。体が戻らなくなった」と1年半前、23年九州場所で家族と話し合い、今場所での引退を決めていたという。
昨年夏場所では膝を痛め番付も降下。ところが、リハビリを続ける中で今年春場所から状態が好転。最後は幕下で勝ち越した。父の鏡山親方からは「今更になって力を出しやがって」と、褒められたという。
竜勢は「本当に完全燃焼。こんな終わり方はぜいたく」と周囲の支えに感謝した。22年間の土俵人生。「あっという間でした。周りに迷惑ばかりかけてきた。これから恩返ししたい」と誓った。思い出の一番は03年春場所の前相撲だという。「最初の相撲で、土俵に上がった瞬間に目の前が真っ白になった。緊張しすぎて、何も覚えていない」と振り返った。
父親の部屋に入門したが「稽古も食事の際もすごく厳しくて、いつも緊張していた」と回想。ネットでは父親に甘やかされている、などの声も目にしたが「何を言われてもいい」と辛抱してきた。今後は複数の就職先候補があり、面接を受ける予定。また、映画が好きで俳優になる夢もあるという。「人に喜ばれる仕事をしたい」と誓った。
協会の発表では、弓取り式最多回数を誇る48歳の聡ノ富士(伊勢ケ浜)、48歳で最古参力士の澤勇(式秀)、式秀部屋の所属で4月に「外陰部壊死性筋膜炎」で急逝した若戸桜らが引退した。
【引退発表力士】北勝丸(八角)、颯富士(伊勢ケ浜)、竜勢(伊勢ノ海)、雷鵬(伊勢ケ浜)、益湊(阿武松)、魁當真(浅香山)、小野(伊勢ケ浜)、聡ノ富士(伊勢ケ浜)、澤勇(式秀)、若戸桜(式秀、※死去)





