「名古屋ウィメンズマラソン」（１０日、バンテリンドームナゴヤ発着）

　パリ五輪最終選考会を兼ねて行われ、２１年東京五輪の１万メートル代表で、２時間２１分３６秒の自己記録を持っていた安藤友香（２９）＝ワコール＝が自己ベストとなる２時間２１分１８秒で優勝したが、残り１枠のパリ五輪切符獲得を逃した。２１年大会の松田瑞生以来３年ぶりの日本人優勝で、賞金１５万ドル（約２２００万円）を獲得した。１月の大阪国際女子マラソンで２時間１８分５９秒の日本新を出した前田穂南（天満屋）が五輪代表に決定した。

　残り１枠のパリ五輪切符獲得へ、選手たちは前田の日本記録更新が必須条件だった。序盤は淡々とレースが進んだが、ペースメーカーが１２キロで１人離脱し、１３キロでさらにもう１人遅れた。先頭集団は中間点を１時間９分５６秒で通過した。

　２１年東京五輪代表で２時間２１分５２の自己記録を持ち、地元愛知でのレースとなった鈴木亜由子（３２）＝日本郵政グループ＝は２５キロ過ぎで先頭集団から後れた。２６キロ過ぎでは昨年の世界選手権代表で２時間２１分５５秒の自己記録を持つ加世田梨花（２５）＝ダイハツとも先頭集団から後れた。

　終盤まで日本勢は安藤、加世田、鈴木の順で進んだ。３９キロで鈴木が加世田を抜き、安藤が先頭のバーレーン選手に追いつく、激しい展開となった。

　レース後は涙を流した安藤。インタビューでは「パリはいけないんですけど、本当に優勝することができてよかったです。本当にたくさんの人にお世話になって走れている。１人１人の顔が浮かんで走れました。７年ぶりに更新できて、優勝で終える事ができた。途中離れた時は苦しかったですけど、前だけみて走ったら追いつくことができた。また今日をスタートにして、気持ちを新たに頑張りたい」と、笑顔とともに前を向いた。

　今大会を持ってマラソンの五輪選考レースが全て終了。男女各３人の代表が出そろった。

　◆マラソン・パリ五輪代表

　男子　小山直城（ホンダ）、赤﨑暁（九電工）、大迫傑（ナイキ）

　女子　鈴木優花（第一生命）、一山麻緒（資生堂）、前田穂南（天満屋）

　◆マラソン・パリ五輪代表補欠

　男子　川内優輝（あいおいニッセイ同和損保）

　女子　細田あい（エディオン）